F16墜落事故、当面の問題点


 1月21日に、三沢基地の第13戦闘飛行隊所属のF16が釜石市内の山林に墜落した。墜落地点は、海岸からわずかに陸地側に入ったところ。戦闘機が1〜2分飛べば海上に出られる場所だった。88年9月にも、三沢のF16がもう少し内陸に入ったところに墜落している。1月21日午後、この事故のニュースを聞いたとき先ず頭に浮かんだのは、墜落機は陸地を避けて海上に逃れることは出来なかったのか、ということだった。

エマージェンシー・コールがあった

 米空軍の発表によれば、事故機は対地攻撃訓練を行うために13時に三沢基地を離陸したという。三沢市の伊藤裕希市議の調べによると、13時30分ころに三沢基地に緊急着陸に備えた動きがあった。しかし数分後警戒態勢は解除され、その後第13戦闘飛行隊所属のF16が2機ずつ計8機下りてきたあと、2機編隊で飛び立ったはずのうちの1機だけが下りてきた。
 この緊急着陸の要請は、異変に気づいた事故機のパイロットから出されたが、数分後に墜落し、現場の上空を何度か旋回したあと去った僚機の連絡によって解除された、と見ていいだろう。緊急事態をコールする余裕もなく高知県北部の早明浦ダムに突っ込んでいった94年10月の艦載機A6の事故とは異なり、今回の事故機は、異常事態(例えばエンジン出力低下)から墜落までに数分間の時間があったことが、この緊急着陸のための態勢がとられたことから言えるだろう。


緊急時マニュアルの公開を

 この数分の間に、パイロットは大惨事が起こりうる地上への墜落を避けて海上に逃れようとしたのだろうか。岩手県や北海道の上空で低空飛行を行う三沢のF16飛行隊の緊急時のマニュアルに、出来るだけ大惨事を避けて海上に逃れるという項目があるのだろうか。事故原因の調査には何ヵ月かかかるのが常だが、今あるマニュアルの中身はすぐにでも公開出来るはずだ。「あとは野となれ山となれ」でパイロットが緊急脱出されたのでは、下で生活している住民はたまったものではない。この不安(恐怖)は一刻も早く解消されなければならない。


異常発生時の高度は?

 事故報告書がまとまるまでは明らかにされない可能性が強いが、もう一つ気になるのは、異常事態発生時の事故機の高度だ。日米合同委員会で「低空飛行訓練の高度制限を守る」と決めた直後のことだ。500フィート以下で飛んだはずもないが、高度制限を守るだけでは、地上への墜落を避けて海上に機体を誘導するのに十分な高度は確保出来ないということが示されたのではないのか。いずれ公表される事故報告書に注目したい。


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