F16墜落原因は「脇見運転」


 在札幌米総領事が岩手県知事に「パイロットのミスだった」と詫びたのは5月17日。その10日後に横田の第5空軍 司令部から事故報告書のサマリーが発表された(99.5.29 星条旗新聞)。1月21日に釜石市内の山林に墜落した三沢の F16の事故報告書だ。
 星条旗新聞の記事によれば、事故発生の経緯は以下の通り。
事故機は2機編隊の1機で、対地攻撃訓練を完了したばかりだった。次の訓練に移る時にパイロットはGスーツのジッパーに問題が生じたと判断した。時速481マイルで飛びながら、樹木のテッペンに機体が触れるまで15秒以下だった。エンジンをフルパワーにしたが、機体は木にぶつかりエンジンが停止した。45秒後にパイロットは脱出した。
 ジッパーが外れたことに気をとられていたのが墜落の原因だ。パイロットがジッパーを点検しているうちに危険な高度まで降りていた。パイロットが飛行していた空域の安全高度まで上昇するか、ジッパーの点検時間がもっと短ければ事故は起きなかった。
 事故は何でこんなことで、という原因で起きることが多い。それにしても「脇見運転」が原因だったとは。
不測の事態が起きても墜落を免れるように操縦する、というのが軍用機に限らず航空機を飛ばす時の安全原則だ。事故機は安全高度をとっていなかった。低空飛行が危険なのは安全高度以下で飛んでいるためだ。報告書のフルテキストが発表された時に、事故機がどんな高度を飛んでいたかが明らかになるだろう。