米軍・外務省の取り決めの欺瞞性

「学校に配慮した飛行」なんてウソッパチだ


日米合同委員会が「在日米軍による低空飛行訓練について」取り決めて発表したのは99年1月1 4日のことだった。その直後の20日と21日に、連続して米軍機の墜落事故が起きた。 21日に釜石で墜落した三沢のF16戦闘機は、墜落する直前に小白浜漁港の港湾施設を 模擬攻撃していた。
事故報告書には、その模擬攻撃に使った「アタック・マップ」が添付されていた。飛行コ ース、攻撃目標などが表示された地図には、協定で妥当な考慮の対象とされるべき小学校や中学校の所在 地は記入されていなかった。「アタック・マップ」に記載されていた攻撃ルートと攻撃目 標を示す三角マークを、小白浜付近の地図と重ねたのが上図だ。
当初の予定コースでも、唐丹小学校、唐丹中学校の近くを飛ぶが、パイロットが見通しを 確保するために予定より東側に回り込んだという証言から推定すれば、事故機は中学校の 真上を飛んだことになる。この時、気圧高度(気圧高度計の示す高度)1600フィートまで 事故機は降りていることが、事故報告書に添付された15秒ごとの飛行データから読み取れる。
もし、地図に回避目標として学校の記載があれば、こんなコースの選び方をするはずがな い。そもそも、ほんの7日前に発表された「取り決め」を守る気があれば、学校2つに隣 接する小白浜の港を爆撃目標に選定しないはずだ。

98年7月、上ノ国の小学校を目標にした疑いが極めて強いF16の飛行予定についても、 小学校の存在を知っていたのか、という公開質問状に米軍は答えようとしない。知ってい てやったと答えれば怒りをさらにあおることになり、知らなかったと答えれば、知らずに やっていたことの過失責任を問われ、上ノ国以外でも学校を模擬攻撃目標としていた可能 性を否定できなくなる。だから答えられないのだ。
「公共の安全に係わる他の建造物(学校、病院等)に妥当な考慮を払う。」という文言は 口約束でしかなく、米軍はハナっから守るつもりは無かったのだ。結局、低空飛行訓練は 必要だと日米両政府が認めた、ということを強調する文書にすぎなかったのだ。

HOMEF16の爆撃ルート