地上監視偵察機、嘉手納に居座る


2月13日、嘉手納に飛来したE8(Joint STARS)

米軍の地上監視偵察機E8が、2月13日夕方、嘉手納基地に飛来した。記録に残っている限りでは、1999年1月28日の飛来(航空ファン)が直近のものだ。当時の嘉手納ウォッチャーによれば、同年3月下旬に起きた「不審船」事件の数日間、電子偵察機RC135は飛ばずに、夜間にこのE8が飛んでいたとのことだ。

この偵察機の任務は何だろうか?米空軍の"Fact Sheet"によれば、主任務は地上偵察により、戦域の空地戦闘指揮官に攻撃支援と攻撃目標の情報を提供すること、となっている。胴体下のカヌー状のレドームに収められた側視フェーズドアレイ・レーダーを運用し、250キロメーター以上離れた陸上部隊の動きをほとんどリアルタイムで地上の指揮官に伝える。実戦展開は91年の湾岸戦争が始まりで、最近のアフガン爆撃やイラク戦争にも出撃している。(以上、"Fact Sheet"より)
要するに、戦車やトラックなどの動きを克明に把握して、攻撃の優先順位を決めるために決定的な役割を果たす(能書き通りであれば)。空軍と陸軍の統合運用というのもうなづける話だ。

2月13日の嘉手納への飛来後、18日に約12時間の初フライトを実施、その後も週一、二回のペースで飛行を続けている。行き先は不明だが、この機体が今、嘉手納に居る意味はなんだろうか。
大隊規模の海兵隊を沖縄からイラクにシフトする動きが進行中だ。この動きにともない、太平洋軍はグアムにB52を6機配備した。「イラクに部隊を配置転換しながらも、太平洋地域で必要な軍事力は保つ」(国防総省報道官,2.4日経)意味合いだ。以前、ヨコスカの空母が湾岸に派遣されたとき、アラスカなどからF15EストライクイーグルとガンシップAC130が在韓米軍基地に一時的に配備されたことがあった。艦載機の攻撃力に替わる措置だったが、今回は陸上部隊の減少をカバーするためだ。敵の陸上部隊を攻撃するための爆撃機配備であれば、そのための情報収集機が嘉手納に展開するのは、重大な意味を持つ。
E8が一ヵ月程度で嘉手納から離れれば、飛来は別の目的だったといえるかもしれない。しかしそれ以上居座る場合は、海兵隊のイラクシフトに対応した措置の一つとなっている可能性が大きいといえるだろう。

(RIMPEACE編集部)


'2004-3-4|HOME|