海兵隊のヘリが落ちたと思ったら、今度は空軍の戦闘機があわや墜落、という事故を起こした。生活の場の上空を日常的に軍用機が飛んでいる基地周辺住民にとって、逃れ場所のない恐怖は増幅されるばかりだ。
放映された画像から、この接触事故は(空中衝突と言い換えたほうがいいのかもしれないが)タイトな編隊飛行から隊形を変えるときに起きたものと見て間違い無いだろう。このタイトな編隊飛行は、F15に限らずほとんどの戦闘機が頻繁に行うものだ。衝突による損傷がたまたま小さかったので墜落に至らなかっただけだ。連日軍用機の飛行を間近で見ている人たちにとって、無事に着陸できて良かったね、という問題ではない。
それなのに...。事故翌日の嘉手納基地では、アラスカから来ているF15は飛ばさなかったが、嘉手納のF15はバンバン飛んだ。米軍は何を考えているのだろう。
アラスカのF15飛行隊が嘉手納に展開しているのは、アフガン・イラクへの沖縄からの陸上兵力展開の穴を空軍力でカバーするねらいがあろう。また、グアムに配備された爆撃機、嘉手納の空中給油機・早期警戒機、電子偵察機などの飛行を護衛するのは、嘉手納にいる制空戦闘機の主要な任務だ。極東における米空軍の動きが活発になればなるほど、F15は不足する。アラスカからの助っ人が必要なわけだ。
世界のあちこちで米軍が戦争を仕掛けて戦線が拡大するほど、現行戦力に負荷がかかるのは当然のことだ。無理な稼働率の向上を目指せば、事故がまた起きる確率は高くなる。いや、今だっていつでも事故が起きかねない状況だし、実際連続して起きている。一時的に、事故を起こした飛行隊の飛行を停止するだけでは、事故が連続して起きる状況を変えられないことは明らかだ。
(RIMPEACE編集部)