「海上だからよかった」ではない、嘉手納のF15墜落



墜落事故の翌々日に通常通りの訓練を再開した、嘉手納基地のF15戦闘機 (1.19 撮影)

1月17日午前10時ころ、嘉手納基地所属のF15戦闘機が、ホテル・ホテル訓練空域(米軍名称W173)の端に近いところに墜落した。
今回の墜落事故での特徴は、事故後の同型機の訓練再開が極めて早かったことだ。海上に墜落したために、目だった被害が目に見えない(と一般的に思われた)ことが、米軍の訓練再開の決定、そして日本政府の追認に大きな影響を及ぼしたと考えられる。

墜落現場まで漁協所属の船で急行した石川市漁協の方に、墜落事故の翌日に話しを聞かせていただいた。
『3時間ほどで現場の海域についた。墜落から5時間あまり経っていたが、ジェット燃料のにおいがきつかった。気分が悪くなるほどだった』
『この海域はソデイカ漁、パヤオ(漁礁)漁の漁場が近い。一歩間違えれば漁船が被害を受ける恐れがある。またジェット燃料による、パヤオ、ソデイカへの影響が心配だ』
『海ならば被害が無い、というのは間違いだ。ウミンチュ(海人)が声を出さないと、陸の人にはわからない』

下の図には墜落場所と演習空域、そしてパヤオ(漁礁)が設置してある場所の関係が示されている。また、パヤオ群の南東及び南には、それぞれW185、W172という訓練空域が設定されている。これらのパヤオには、沖縄本島東海岸の漁船だけではなく、東シナ海に面する本島西海岸の漁船も集まって、マグロ漁などを行っている。ウミンチュが皆、今回の墜落事故の当事者なのだ。
今回の事故は、米軍の「自損事故」などではない。沖縄を3次元でとりまく米軍の訓練海空域や基地と空域とをつなぐ飛行経路は、漁業の現場と重なっている。
沖縄に集中している、米軍の活動領域と生活空間の重なりは、海上にまで広がっている。今回のF15の墜落事故が示した米軍機による脅威は、普天間のヘリ墜落事故と同じなのだ。

(RIMPEACE編集部)


墜落地点と漁場の関係(1.18付 琉球新報紙面より)


'2006-1-21|HOME|