大気収集機WC135C、嘉手納に飛来


5月18日16時15分、嘉手納基地に着陸するWC−135C大気収集機(62-3582)

5月19日に、テポドン2号の発射準備が進んでいると一斉に報道されたが、その前日の18日に、嘉手納基地に飛来したのは核開発で発生する放射性物質を大気中から収集する特殊な任務を持つWC135だった。ミサイル発射が現実のものであるとアメリカが考えたならば、実際に飛来するのはWC135ではなくてRC135Sのはずだ。

WC135が嘉手納に飛来したということは、北朝鮮もしくはイランの核開発問題で米国が、何か具体的な物証を集める準備を始めたことを意味する。
今回の飛来がイランにかかわる任務の途中に立ち寄ったものならば、近いうちにこの機体はディエゴガルシアに向けて飛び立つだろう。また北朝鮮にかかわることであれば、週明けにも嘉手納から日本海上空に向かうミッションが始まることになろう。

嘉手納基地には、ミサイル発射や核開発監視など「単機能」特殊任務を帯びた偵察機が飛来する。空軍の戦術的な狙いというよりも米国の意志を反映した偵察機の展開だ。
麻生外務大臣は19日の外務委員会で、「一連の動きをかなり以前から知っている」と語った。ミサイル発射準備がかなり前から動き出しているにもかかわらず、ミサイル実験監視機RC135Sが嘉手納に飛来することもなかったし、佐世保に最近まで入港していたミサイル実験監視艦オブザベーション・アイランドも船体の塗装を行っていた。米軍のミサイル監視アセットに緊急対応と見られる動きは見られなかった。
ミサイル発射について「差し迫った動きはない」という観測を裏付ける、米軍の動きだ。

差し迫った動きがあるとすれば、それは核開発の方だと米国が考えていることの現われの一つが、嘉手納へのWC−135C機の飛来だろう。その機体の動きを追うことで、イランなのか北朝鮮なのかも明白になってくる。

(RIMPEACE編集部)


この角度のほうが、主翼付根の上にある大気採取口がはっきりわかる(06.5.18 撮影)

「参考」
米軍は大気収集機としてWC135WとWC135Cの2機を運用している。昨年4月に嘉手納に飛来したのはWC135Wだ。
今回のC型は、核戦争にも対応する空中司令機だったEC−135Cを1機だけ、99年に臨時に大気収集機に改造したものだ。改造前の姿は、http://www.2accs.com/pages/ec-135-3_jpg.htm で見ることが出来る。


'2006-5-21|HOME|