嘉手納基地飛来のC2、厚木C2事故機の「尻拭い」


嘉手納基地のNAVY駐機エリアで翼を休める、リンカーン艦載の2機の空母連絡機(2006.5.18 撮影)

横須賀と東南アジア・中東方面との行き帰り、南から日本海に入る場合など、沖縄近海を空母が通ることは多い。空母と陸上基地間の人員や物資の輸送を担当するのが、空母連絡機C2グレイハウンドだ。

空母リンカーンが香港を出港して北上を始めると、嘉手納基地が連絡拠点となる。5月16日夜、リンカーン艦載のC2が嘉手納に飛来した。その後リンカーンが佐世保に寄港する5月25日まで、2機のC2は嘉手納を拠点に空母との連絡飛行を行っている。

空母キティーホークにも別のC2が2機配備されている。大規模な修理を行っていたキティーホークが検査航海に出たのは5月20日。横須賀帰港後に控えている長期の訓練航海に備えて、厚木の艦載機は5月16日から硫黄島でNLPをはじめた。空母着艦資格を得るため、C2のパイロットもこのNLPを行わなければならない。

リンカーンが佐世保に入港する直前の5月22日に、マスコミの記者に乗艦取材が設定された。福岡空港に8時に集合した十数人の記者たちを空母に送り届けるのは、2機いる厚木のC2のうちの1機だった。
NLPを終えて着艦資格を付与されたパイロットが操縦して、厚木基地から福岡空港に向けて飛び立ったC2は、離陸後数分のうちに部品を地上に落下させ、厚木に引き返した。

「米軍から得た情報によると、5月22日(月)午前7時05分頃、厚木基地所属C−2輸送機が、厚木基地から岩国基地へ向かう途中、平塚市周辺上空において、エスケープ・ハッチ(緊急脱出用扉、60cm×60cm、約13kg)が落下し、厚木基地へ引き返したとのこと。現時点で被害情報はなく、落下物も発見されていない。」(東京防衛施設局から関連自治体への情報提供)

空母まで乗って行くためのC2が厚木に引き返してしまったため、福岡空港で待機していた記者たちは、事故を知らされないまま結局5時間待たされた。代替機は嘉手納にいた、リンカーン艦載のC2だった。
そして地元の報道陣にこの事故が公表されたのは、24日付毎日新聞神奈川版によれば事故発生から12時間以上が経過した22日午後7時45分ころだった。

(RIMPEACE編集部)


厚木基地にアプローチするC2。キティーホーク艦載のC2はこの30番と31番の2機だ。(06.4.4 撮影)


'2006-5-25|HOME|