普天間ヘリの航跡調査、何のため?


普天間基地の境界から約1キロはみ出して旋回する海兵隊ヘリCH46(ET/01)
(08.7.8 12:01:42 撮影)


撮影場所の嘉数高台と緑の屋根のコンベンションセンターを結んだ線は、
基地の外周から300メートル以上離れている(08.7.8 12:01:52 撮影)

8月下旬から9月初めにかけて、防衛省が民間に委託して1週間、普天間基地の航跡調査を行うのだと。
宜野湾市を始めとするする地元からは、そんな短期間で実態が分かるわけがない、というきわめて当たり前の批判が出されている。

宜野湾市の監視ボランティアが寄せる目視データを解析するまでもなく、海兵隊のヘリが基地の境界を大きく超えて旋回飛行の訓練を繰り 返しているのは、飛んでいるときにちょっと意識的に航跡を確認すれば、誰にも(防衛省の職員にだって)わかることだ。

沖国大へのCH53D重輸送ヘリの墜落事件のあと、基地のフェンスをはみ出ずに旋回訓練をしていたのは、飛行再開後ほんの少しの間 だった。旋回飛行の高度からオートローテーションで基地内に降りられるという、境界より300メートル外という経路を外して、 上掲の写真にみられるように「はみ出し飛行」が常態化している。
防衛省はまずこのことを米軍に知らせて、墜落事故の後の約束をきちんと守れ、と強く言うのが先決だ。

たかだか1週間の調査では、米軍がそのときだけ約束を守って飛ぶことも十分考えられる。爆音差し止め・損害賠償請求訴訟の原告が 裁判所に要求して実地検証を行うと、その時間だけ「静かな基地」になってしまうのは、それこそ何度も経験してきたことだ。

今回の1週間の調査で米軍の通常のはみ出し飛行の経路が浮き彫りになるとはとても思えないが、これまで重ねてきた監視ボランティア の目視データと、防衛省の調査期間以降の目視データを普天間基地での旋回飛行の母集団とすれば、防衛省の観測結果が作為的 な飛行の結果であるかどうかは「統計的な客観性」をもって示すことができよう。

今回の防衛省の調査結果の平均値だけでなく、生のデータを開示させることで、平均値のズレが起きる確率まで出せるはずだ。作為的な 「はみ出しのない飛行」が1週間だけ行われても、見破られることは確かだろう。

(RIMPEACE編集部)


'2008-8-23|HOME|