オスプレイ普天間配備の危険性を暴く

オスプレイのオートローテーション機能(上)

ヘリコプターには、エンジンが止まっても、機体が降下する際の(相対的な)上昇気流を利用してローターをまわし、揚力を得て比較的ソフトな着陸が出来る機能がある。オートローテーションというこの機能をエンジン停止という非常時に使いこなせるように、ヘリのパイロットが繰り返し訓練で叩き込まれる、基本的な操縦技術だ。

離着陸時と水平飛行時で回転翼(ローター)の向きを変えて飛行するティルト・ローター機、MV−22オスプレイが米海兵隊航空部隊に導入され、海兵隊ヘリ部隊の主力となっているCH−46シーナイトとの入れ替えが進められている。普天間基地にも、2012年10月〜12月に1個飛行隊12機が、また2013年10月〜12月にさらに1個飛行隊12機が配備される計画が、海兵隊年次航空計画に記されている。(FY2011 MARINE AVIATION PLAN, Section 2、MV-22 Transition Timeline)

2011.8.8 衆院予算委で、赤嶺議員が普天間へのオスプレイ配備について取り上げた。オスプレイの事故率の高さについての質問とともに、オートローテーション機能の有無についても問いただした。

○赤嶺委員 オスプレーには、事故が繰り返されてきただけではありません、致命的な構造上の欠陥が言われてまいりました。オートローテーション機能の欠如であります。
オートローテーションとは、すべてのヘリコプターについている機能でありますが、ヘリコプターが飛行中にエンジンが停止しても、機体が降下するときの空気の流れから揚力を得て安全に着陸する機能のことであります。ところが、オスプレーには、独自の形状を持つことから、開発過程でこの機能を持たせることができなかったと指摘されております。
 防衛大臣に聞きますけれども、オートローテーションの機能の欠如という問題点は解決されたんですか。

○北澤国務大臣 オートローテーションについては、これは今お話のありましたように、回転翼航空機が運動中、その揚力を受け持つ回転翼が完全に空力のみによって駆動される飛行状態をいうものだというふうに規定されておりますが、このオスプレーはオートローテーションの機能は十分にあるというふうに承知をいたしております。

○松本国務大臣 オートローテーション機能については、私どもも米国側とは話をいたしておりまして、(中略)オスプレーのパイロットは、シミュレーターを用いて、先ほど北澤大臣もお話ししましたが、二つのエンジンがもし同時に停止をしたとのシナリオに基づくオートローテーションの訓練を定期的に行っているということでありまして、私どもとしては、米側の当局から同盟国である我が国に対する説明でありますから、確認をしつつも信頼をしてまいりたい、このように思っております。 (議事録より抜粋。太字は筆者が強調)

政府答弁の中で、注目すべき点が2つある。
防衛大臣の言うところの「オートローテーションの規定」から「安全に着陸」という言葉が抜けていること、外務大臣の答弁で米国ではシミュレーターでしかオスプレイのオートローテーションの訓練を行っていないこと、の2点だ。

オスプレイにはオートローテーションの機能が十分ある、などと公の場で平気で話しているのは、筆者が調べた限りでは上記の日本の閣僚だけだ。
オスプレイ開発には「アポロ計画を上回る」時間が費やされている。その中で賛否両論が、公聴会などで寄せられたが、賛成する側もオートローテーションの手順を踏んで安全に着陸できる、とは言っていない。

オスプレイのメーカーであるボーイング社が出しているオスプレイのガイドブックの中に、オートローテーションについてのQ&Aが載っている。
[作り話] オスプレイはオートローテーションが出来ないから安全ではない。
[事実] オスプレイはティルトローター機で、エンジン停止の際の緊急着陸にさいしてはオートローテーションに頼らない。2機のエンジンが停止しての着陸はほとんどありえないが、必要とあらば 航空機モードで、ターボプロップ機のように滑空して着陸することができる。

メーカーでさえ、オートローテーションには頼らない、と言っている。
開発に反対、もしくは開発は失敗だった、という人たちは、オスプレイのオートローテーション機能では安全に着陸できないことを、より具体的に指摘している。

(RIMPEACE編集部)


WEST COAST BASING OF THE MV-22 Final Environmental Impact Statement の表紙より


2011-9-21|HOME|