オスプレイ普天間配備の危険性を暴く −6(関連)

辺野古のアセス、ヘリの場周経路が無い!


青いラインが、想定されるヘリ・オスプレイ(ヘリモード)の場周経路。アセス準備書の図に加筆

普天間基地にヘリの場周経路と固定翼の旋回(場周)経路が存在することは、普天間代替基地として辺野古の海などを埋め立てる新飛行場建設のアセスメントにも大きなかかわりを持ってくる。

2009年4月に沖縄防衛局が作成した「普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価準備書」には、対象事業の目的及び内容として「飛行経路」も示されていた。
「飛行経路」は、飛行場(基地)の安全性や騒音、動植物に与える影響など、当工事に対する環境評価の主要な柱の一つだ。

準備書に示されていた「飛行経路」は、固定翼機の離着陸の方向と、機種不明の有視界飛行の旋回ルートだけだった。
ヘリの有視界飛行については、「@ 基本的にメインの滑走路を風向きに応じて使用します。 A サブの滑走路を使用した離着陸(基本 的に、北東寄りの風の場合は離陸専用、南西寄りの風の場合は着陸専用)も行われます」と述べられているのみで、台形の有視界飛行ルートがヘリのものだという説明は一切無い。

この台形の飛行ルートは、ダウンウィンド・レグ(旋回ルートで滑走路と平行している部分)が、滑走路から3.5キロ以上離れている大回りのルートだ。「固定翼機の旋回訓練経路とオスプレイ」に掲載した、ミラマー基地でのオスプレイの固定翼モードでの旋回パターンが2つ入ってまだ余裕が出る大きさだ。

防衛省が出した「普天間飛行場の危険性の除去に向けた取り組み」(以下、「取り組み」)の6ページ、(普天間基地の) 場周経路(現状)の黄色いラインがヘリの旋回訓練の経路だ。楕円形の場周経路の短径は750メートル、長径は滑走路の長さの1割増しと見て、およそ3キロメートルとなる。
普天間代替基地に当てはめた場合、短径は同じとして、滑走路が1800メートルだから、場周経路の長径は約2キロメートルとなる。

アセス準備書に記載された台形の経路は、どの機種の旋回飛行を前提としたものだろうか?
もしこれが回転翼機(ヘリ、ヘリモードのオスプレイ)の旋回経路だとすれば、普天間基地の旋回経路に比べてとてつもなく長いものになる。1回の離着陸訓練に要する時間・燃料が倍増するだろう。さらに、固定翼モードのオスプレイが飛行する固定翼旋回経路をさらに外側に設けなければならない。速度が大きく異なるヘリと固定翼機を同じ経路で旋回させることは危険の増大につながるからだ。

この台形の経路は、普天間代替基地の固定翼機の旋回経路と考えねばならない。
それでは、普天間代替基地でのヘリの旋回経路はどこに設定されるのだろうか。

ヘリの旋回訓練は有視界飛行で行われる。普天間代替基地でのヘリの有視界飛行は「基本的にメインの滑走路を風向きに応じて使用」する。(アセス準備書)
ヘリの旋回訓練は陸側の滑走路を使って行われる。では、楕円形の場周経路は、滑走路の山側(国道側)か、それとも海側(もう一本の滑走路側)か、どちらに造られるのだろうか。

滑走路が1本の場合でも、ヘリの場周経路と固定翼機の場周経路は、滑走路を挟んで反対側に置くのが原則だ。空中衝突の危険を減じるためで、普天間基地もそうなっている。
V字だろうが平行滑走路だろうが2本滑走路があるときは、場周経路が他の滑走路を横切らないようにする。
となると、ヘリの場周経路は山側に設定するしかない。

作図するだけなら、新飛行場を含むキャンプ・シュワブの敷地内に場周経路を収めることは可能だろう。ただ、「ハミダシ飛行の実態」で見たCH53Eが飛んでいたのは、普天間基地の滑走路端から2キロメートル離れている。
V字滑走路の結節点から2キロといえば、豊原区が入ってくる。海側のサブ滑走路の手前側の延長線とクロスするが、こちら側からのサブ滑走路への計器進入はないから、有視界飛行ではみ出すのを妨げるものがない。
また、代替飛行場に隣接する辺野古区の集落は、普天間基地のはみ出し飛行の実態を考えると、真上を頻繁に旋回訓練のヘリや、ヘリモードのオスプレイが通過することになる。

代替飛行場の飛行経路の中で、もっとも使用が多いと見られるヘリの場周経路は、アセス準備書に一言も触れられていない。

(RIMPEACE編集部)


辺野古漁港の上を飛んでシュワブのヘリパッドに向かうCH46の編隊 (2011.3.10 ヘリ基地反対協議会 撮影)


2011-10-6|HOME|