普天間基地ヘリ航跡図を読む 4
2010年8月のヘリ航跡図に、黄色い太線で固定翼機の周回経路を重ねた。ヘリの航跡は固定翼周回経路と全く重ならない
沖縄防衛局が発表した「普天間飛行場における回転翼機の飛行状況調査結果について」には、KC130,P3C,
UC12などの固定翼機の航跡は含まれていない。
普天間基地に固定翼機の旋回飛行ルートがあることは、オスプレイに関する9月1日付の防衛大臣の沖縄県知事・宜野湾市長あて回答に述べ
られている。
「MV−22は、普天間飛行場に既に設定されている飛行経路を飛行し、(中略)、固定翼モードで飛行する場合は既存の固定翼機の飛行
経路を飛行する旨米側より説明を受けている。」
存在することは明言されても、どこにその飛行経路があるかは、隠されたままだ。オスプレイが普天間基地に配備されようとしているとき
に、いまだに国はその飛行経路すら明らかにしない。
今回の沖縄防衛局の航跡調査の前に、2008年夏に数日間試験的な航跡調査が行われた。この結果はヘリも固定翼機も合わせて明らかにされ
たが、08年8月29日の航跡図に固定翼機が旋回飛行をおこなっている航跡が3本入っていた。
この航跡をもとに固定翼機の旋回経路を今回の航跡図に書き加えたのが上図だ。
黄色の太線で示された飛行経路は、下図のマスタープランに書き込まれた経路のやや内側を回っているが、おおむね同じ経路が継承されて
いる、と考えられる。
固定翼モードで旋回訓練するオスプレイは、このコースを飛行することになる。
「普天間飛行場における回転翼機の飛行状況調査結果について」の航跡図からは、ヘリの飛行経路が固定翼機の旋回経路と重ならないこと
が読み取れる。それは、監視していて事実としてしめされていることだが、ヘリの飛行経路と固定翼機の飛行経路は異なっていて、少なく
とも普天間基地には2つの旋回経路があることを示している。
普天間代替基地の建設のためのアセスメントの準備書には、台形の大回りの経路のみが示されている。ヘリと固定翼機が使う基地、特に
ヘリモードと固定翼機モードの両方の訓練を行うオスプレイの配備が予定される基地の、旋回経路が一つだけということはありえない。
準備書を基に、政府が年内にも沖縄県に提出しようとしている辺野古に基地建設のアセス評価書は、軍事的な常識さえ無視したシロモノ
でしかない。
(RIMPEACE編集部)
普天間基地マスタープラン(1992年6月)に図示されている航空機の出発経路。俵型が固定翼機の有視界旋回パターン。
このマスタープランは、琉球大学学術ディポジトリに「東アジア多国間
安全保障枠組創出のための研究―
米軍プレゼンスの態様―」(我部政明)の資料として収録されている。
2011-10-29|HOME|