普天間基地ヘリ航跡図を読む 5止

「オスプレイ 来夏配備も」(琉球新報1面見出し)。MV22オスプレイの沖縄配備が早まる可能性についての共同通信の配信が、 11月11日に各紙で報じられた。
航跡調査で米軍のハミダシ飛行、それもほとんど全部がはみ出している場周経路の飛行実態が明らかになった直後に、それでもオス プレイの普天間配備がスケジュールを早めてでも強行されるというのだ。

2004年8月13日に普天間基地の重輸送ヘリが基地近くの沖縄国際大学に墜ちたあとも、普天間基地でヘリを飛ばすのに安全が確保されてい るという「屁理屈」を日米政府はひねり出した。
その最大の根拠が、場周経路を決められた飛行高度で飛んでいるヘリは、エンジンが止まってもオートローテーションで普天間の滑走路に 安全に降りられる、というものだった。ほんの4年前の「普天間飛行場の危険性の除去に向けた取り組み」(防衛省 2007年11月) に書かれている。

国が安全だと強弁する場合、原発でも航空機事故でも事故前のルールが守られていて、事故対処も理想的に行われる前提に立つことが多 い。
普天間基地場周経路の飛行の安全性についても、オートローテーションで滑走路まで到達できること、ヘリは決められた場周経路を守って 飛んでいること、が大前提だった。

オスプレイが配備されて、これまで配備されていたCH46輸送ヘリと交代した場合、先ず「オートローテーションで滑走路まで到達でき る」という前提が崩れる。オスプレイはオートローテーションに切り替えることは出来る。しかし「地面にたたきつけられて」安全に着陸でき ない。滑走路にも届かない。

今回防衛省が実施した普天間基地のヘリの航跡調査によって、第二の前提である、場周経路上を飛ぶことも、全く守られていないことが分 かった。
場周経路を守るつもりがあれば、場周経路上が一番飛行密度が高く、その中と外になだらかに分布するはずだ。全部が全部経路を はみ出しているのは、普天間基地のパイロット全員が決められた経路を飛ぶ能力がないか、民家の上に別の経路を想定して飛んでいるかの どちらかだ。
大きくはみ出した経路を飛ぶオスプレイがオートローテーションに切り替えた場合、普天間基地のフェンスの外に、つまり民家の上に墜ち る可能性は、場周経路を守って飛ぶ場合よりも極端に高くなる。

オスプレイの配備を公式に通告した時期に、航跡調査でハミダシ飛行の常態化が明らかになった。防衛省が実施した調査の結果だ。
自らの行った調査結果で「普天間飛行場の危険性の除去に向けた取り組み」が否定された。
4年前から大々的に宣伝していた「安全性」が否定された。その原因の半分はオスプレイの配備だ。
それでもまだ、オスプレイの配備を強行するのだろうか。

(RIMPEACE編集部)


「普天間飛行場の危険性の除去に向けた取り組み」の図にはみ出したオスプレイを加筆。


2011-11-13|HOME|