オスプレイが低空飛行ルートを飛ぶ−6

森本先生に質問、その2
オスプレイはオートローテーションで安全に降りられるのですか?


オートローテーションの説明。防衛省が作ったパンフレット「MV−22オスプレイ −米海兵隊の最新鋭の航空機−」より

2012年6月に防衛省が出した「MV−22オスプレイ −米海兵隊の最新鋭の航空機−」というパンフ(防衛パンフ)では、「オスプレイの安全性」という大項目の中で「飛行中に両方の エンジンが故障した場合、オスプレイはどうするのですか」と自問している。
その答えは、「2つのエンジンが同時に損壊する可能性は極めて低い」としたうえで、「万が一2つのエンジンが停止した場合の緊急着陸の際、飛行状況に応じて滑空するか、オートローテー ションを行う」となっている。

オートローテーションの説明や図を見ても、これで安全に降りられるとは少しも書かれていない。オートローテーションのイメージとする図でも、機体はオスプレイだが、あくまでもイメージ であってオスプレイがこの軌跡通りに降りられるとは書いてないのだ。

防衛省は2007年11月付けの「普天間飛行場の危険性除去の取組」の中で、「オートローテーションによって基地の滑走路に降りられるから、普天間基地の場周経路をヘリが飛んでも安全だ」 と主張した。そして「オートローテーションとは空中でエンジンが停止しても安全に着陸できる特性」と解説している。この解説のキーワードは「安全」だ。
4年半後の「防衛パンフ」のオートローテーションの説明(上掲)を見てほしい。「安全」という文字が見えない。

オスプレイ開発の途中から、オートローテーションで安全に着陸する機能は開発要件から外された。もし現在のオスプレイにオートローテーションで安全に着陸する能力があれば、それは開発要件 から外れた後で獲得された、という奇妙な話になる。オスプレイ開発プロジェクトの歴史を見たとき、森本先生はそれでも「オスプレイにオートローテーションで安全に着陸できる」と言えるので すか?

2番目に聞きたいのは、物理法則との関係だ。「防衛パンフ」3ページに出ている基本性能の比較の数字を用いて計算すると、ローターディスクの面積がCH46の6割に満たず、自重がCH46 の2倍を超えるオスプレイが、CH46と同じようなオートローテーションが可能だとホントに考えているんですか?
物理法則を無視して飛べるのはタケコプターをつけたドラエモンだけのはずなんですが...。

最後にシンプルな質問を一つ。オスプレイがオートローテーションを使って安全に降りられると、アメリカ政府は公式に認めているのですか?

(蛇足)シミュレーターを使って緊急着陸の訓練を行うのは、実機で行うのが危険だからではないのですか? 米空軍のCV−22作戦手順書(2011.11)にも、緊急事態の時の手順は通常、乗員 訓練装置(シミュレーターのこと)によって行われる、と記載されています。

(RIMPEACE編集部) 


2012-7-1|HOME|