オスプレイが低空飛行ルートを飛ぶ−8

CV−22の墜落事故と低空飛行訓練

「特殊部隊の乗り物」仕様のオスプレイCV−22が墜落事故を起こしたのは、防衛省が手分けしてオスプレイ配備について説明をしている最中だった。安全だと説明しているそばからボロボロ と化けの皮がはがれていく。6月14日朝(日本時間)にフロリダで起きたCV−22の事故は、そんなタイミングだった。

このCV−22の事故について6月26日に防衛省が発表したのは、大きな文字で行間を開けてやっとA4用紙3枚にふくらました「米国からの情報」だった。事故原因につながるものは何もない 「情報」の中で、かろうじて状況がわかるのは「事故機は低高度で飛行していた」のくだりだけだ。では、どの程度の「低高度」を飛んでいたのだろうか?
米空軍のCV−22作戦手順書(2011.11)で、最低飛行高度を調べてみた。


CV−22の最低飛行高度について、手順書の規定を、航空機モード、転換・ヘリモード別に訓練内容、装備の有無などで分類したのが上掲の表だ。単位はフィート。200 フィートなら約60メートルという低高度になる。ちなみに、オスプレイの左右のプロペラの端までの幅は30メートル足らず。その幅の2倍の高さしかない。

低空飛行ルートの最低高度は500フィート、と思っていた「常識」がいとも簡単に破られた。同時にヘリコプターが地形追随システムを積んでいるときの、低空飛行の高度も固定翼機とは だいぶ違うこともはっきりした。
その具体例は、オスプレイ配備の環境レビューに出ている、北部訓練場でのヘリの地形追随飛行ルートをたどる普天間のヘリの飛行高度だ。環境レビューによれば今いる普天間のヘリは、この ルートを地上50フィートから200フィートの高度で、対気速度80ノットから120ノットで飛んでいるという。普天間に配備されるMV−22も、時にこのルートを飛ぶことがレビューの 前提になっている。
ヘリモードのCV−22もMV−22も、米国の訓練区域や沖縄の提供区域では、日本の航空法で定める最低高度の150メートルよりもずっと低く飛ぶのだ。

では、今回海兵隊が公表し日本政府もその位置を初めて認知した、オレンジ、イエローなどの低空飛行ルートではどうなのだろうか?
建物に対する被害などを見ると、低空飛行訓練をこれらのルートで行う米軍機は、ここでも提供区域とおなじ感覚で飛んでいるのではないか、と思える。

(RIMPEACE編集部) 


北部訓練場でのヘリの地形追随飛行ルート(オスプレイ配備の環境レビューより)


2012-7-10|HOME|