オスプレイが低空飛行ルートを飛ぶ−8

MV−22の低空飛行、本当の飛行高度は?

普天間基地に配備されているCH46中型輸送ヘリは「敵が目視やレーダーでヘリを見つけ、狙いを定められないように」地形追随飛行訓練を行う。飛行高度は地上50フィートから200フィー ト、飛行速度は80ノットから120ノットだ。(オスプレイ配備の環境レビューより)

レビューによればオスプレイ(MV−22、以下同じ)は、シミュレーターで大部分の地形追随飛行訓練を行うほか、6本のルートを使った低空飛行訓練を行う。低空飛行訓練高度は500フィー ト以上だと本文で何度も書かれている。
しかし、細かい図などを集めたレビュー資料集(Appendix C)に、気になるデータが出ていた。


資料集の65ページ、海兵隊の機種別、低空飛行時の騒音レベル

MV22オスプレイの昼間(Day)の低空飛行のモデル高度は200フィート、スピードは120ノット(ヘリ・モードであることを示す)。夜でも明るい時間(HLL)の飛行のモデル高度は200フィ ート、スピードは250ノット(航空機モードであることを示す)。また真っ暗な夜(LLL)の飛行のモデル高度は500フィート、スピードは250ノット(航空機モードであることを示す)と なっている。
本文との違いはミスなのか、それとも「衣の下の鎧」が見えたのだろうか?

2009.8.31付けの "MV-22B T&R MANUAL"(NAVMC 3500.11A)を読むと、「防御的戦闘機動(DCM)の規則」の中で「DCMは昼間・有視界状況で行わなければならない」の次に「ティルトローター機の 飛行最低高度は地上200フィート」となっている。
またナビゲーションの項目で地上300フィートの低空飛行を導入する、という記述もあり、CVー22ほどではないがMV−22も200フィートから300フィートの高度を飛べることがわかる。 FLIR(赤外線前方監視装置)やデジタルマップを使って、航空機モードでの低空飛行を行う訓練の記述もある。

レビューの資料集の記載は、鎧が覗いたとみなければならない。

目視やレーダー探知を避けるためには、飛行高度は低いほうがよい。その上、オスプレイの飛行マニュアルで200フィート、300フィートまで高度を下げることが認められているから、レビュー で500フィートの高度といっても、それを守らずにもっと低高度を飛ぼうとするのは十二分にありうる話だ。
2011年3月にブラウンルートに近い岡山県津山市で海兵隊機の低空飛行により土蔵が倒壊した事件は、高度500フィートの飛行ならば起こりえないことだ。
もしオスプレイが普天間に配備され、本土の低空飛行ルートを飛ぶとしたら、その高度は公式見解の500フィートよりずっと低くなることは目に見えている。

(RIMPEACE編集部) 


津山の土蔵倒壊現場。(左)奥の山を越えて畑の上を戦闘機が通過した。 (右)土蔵が建っていた跡地。思い出すのも怖いので片づけたとのこと
(11.5.18 田村順玄・岩国市議 撮影)(倒壊事件は同年3月2日に起きた)


2012-7-12|HOME|