防衛省のオスプレイ・データ未収集

嘘つきは墜落の始まり!?

『オスプレイで、エンジンが止まった時に不時着ができるようにする「オートローテーション(自動回転)」機能を使った場合、実際どの程度飛べるのかという「滑空距離」のデータを防衛省が把握 していないことが13日、同省への取材で分かった』(2012.7.14 沖縄タイムス)

沖縄国際大学にCH53D大型輸送ヘリが墜落した後、日米合同委員会のもとに日米合同調査チームが作られ、「普天間飛行場に係る場周経路の再検討及び更なる可能な安全対策についての検討に関 する報告書」(以下、報告書と略)が出され、2007年8月10日の日米合同委員会で合意された。
普天間基地の安全性を評価する中で、真っ先にあげられたのが「III 場周経路の再検討」で「現状を技術的に分析・検証したところ、現在の設定高度・飛行範囲から、ヘリは緊急の際にも「オート ・ローテーション」(空中で動力を喪失しても、回転翼の揚力で安全に着陸できるという特性)によって、飛行場内に帰還を図ることが可能なことを確認」となっている。
蛇足だが、オート・ローテーションの定義には「安全に着陸できる」ことが含まれている。その定義に基づいた報告書が日米合同委員会で合意されているのだ。

当時、(そして今も)普天間基地に配備されているヘリ全部が、普天間基地のヘリ場周経路の高度1000フィートからオート・ローテーションで降下した場合、到達距離は2500フィート(約 750メートル)になる。普天間基地の境界から外に750メートル以内の上空を飛んでいるヘリは、オート・ローテーションを使えば基地の中に降りられる。だから750メートル以内の地域は ヘリ墜落に関して安全だ、というのが「報告書」の結論だった。
ご丁寧にも基地から750メートル以内を緑色に塗った航空写真も「資料20」として添付されている。(下図参照)

この「報告書」は次の言葉で結ばれている。
『この研究により、普天間基地での最近のヘリの飛行活動は、ある種のレベルの安全性を保障されたといえる。しかし、日米両政府は今後常に、この報告書に明示された方法で、さらなる飛行の 安全と住民の安全の確保を実施することが適当だ。』

日米合同委員会で合意された報告書の結語を見れば、少なくともオスプレイが普天間に配備されようとしたら、基地の境界から750メートルとしている「安全地帯」がオスプレイについてもあ てはまるかどうかのチェックは、防衛省が絶対に行わなければならなことだ。
オート・ローテーション機能がオスプレイにある、と言っている防衛省なら、なおさらその時の最大到達距離を調べるのは当然のことだ。
それをしていないというのは、職務の怠慢か、もしくは、オスプレイはオートローテーションで安全に降りられない、ということを実は知っていたために米国に聞けなかったか、そのどちらかだ。

知っていながらウソを重ねて自治体をだましてでも配備しようとする姿勢が、いい加減な事故報告の受理につながり、墜落事故につながっていくのだ。

(RIMPEACE編集部) 

[参考資料]
普天間飛行場に係る場周経路の再検討及び更なる可能な安全対策についての検討に関する報告書(英語)


普天間基地周辺の緑色の領域は、ヘリがオートローテーションで基地内に降りられる「安全地帯」を示している。オスプレイ配備前の図


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