風前のともしび、普天間基地場周経路の日米合意 (1)

防衛省が調査した、普天間基地航跡図の怪


普天間基地航跡調査(防衛省)の2010年6月分。黄色は合意されている、ヘリの場周経路

防衛省(沖縄防衛局)は2010年1月から2011年3月末まで、航空機の発信する電波の追跡と、カメラを使った調査で、普天間基地を離発着する米軍機の航跡調査を行った。
月ごとに集約された飛行航跡図を見ると、基地を周回するヘリの航跡の大部分が場周経路から外側にはみ出している。

周回飛行をするヘリのパイロットは、有視界飛行で自らの飛行コースを定めて飛んでいる。場周経路に重なる航跡がほとんどないのは、統計的に見て、普天間のヘリのパイロットたちが実際に周回 飛行をする時の目標コースが、日米で定めた場周経路ではないことを示している。
15か月の航跡図の中で典型的な2010年6月のものを見る。滑走路から750メートル離れた場周経路のダウンウィンドを内側の境界として、外側に約1000メートルの幅をとって航跡が 分布している。分布の中心は、1000メートルの幅の中心の、滑走路から1250メートルあたりとみられる。(防衛省が、滑走路からの距離の分布データを公表すれば、その中位数からもっと 正確な分布の中心がでるのだが)

防衛省は、自らの調査で完璧にはみ出している航跡を見ても「今回の調査結果は、米軍が『普天間飛行場に係る場周経路の再検討及び更なる可能な安全対策についての検討に関する報告書』 (以下、報告書)を守っていないということを示すものではない」という「評価」をしている。
こんな画像認識能力では、「情報衛星」を打ち上げて写真を撮っても解析できずに「税金の無駄遣い」になるのは必至だ。画像情報の精度の問題ではない。得られた情報を米軍に都合のいいように 解釈する、情報処理の方向性がひん曲がっているからだ。

(RIMPEACE編集部) 


2012-8-15|HOME|