続・オスプレイ普天間配備の危険性 その1

降下率時速90キロでも安全? 防衛大臣議会で語る


「オスプレイのオートローテーションの降下率が1分間に約5000フィートくらい落ちてくる」
8月27日参院予算委で答弁する森本防衛大臣(参議院インターネット実況中継の画面より)

8月27日の参議院予算委員会で、森本防衛大臣が、オスプレイのオートローテーション機能がある、と言い切った後、オートローテーションで下降するときの降下率は毎分5000フィートと いう自衛隊のパイロットたちのシミュレーターでの体験を語った。(下記参照)

時速90キロで落ちてきて、「ソフトランディングとは言い難いが、2、3回クッションがあったものの、機体そのものは安全に着陸できる」とはどういうことか?
オートローテーション時に、最終段階で降下速度を和らげるのはフレアと呼ばれる操作だけだ。回転翼のディスクを傾けて着地直前に前進スピードを上向きの力に変えて、ヘリの下降スピードを 和らげるものだが、ディスク面積の小さなオスプレイが90キロの降下速度を「安全速度」に変えるためには、相当早いスピードの対気速度を落下中に獲得しなければならない。早い向かい風が (ジンプウならぬ)カミカゼのように吹かない限り安全におりることなどかなわないはずだが、「わが自衛隊パイロット」が体験したシミュレーターの中で、最終的な降下速度と、前方への対気 速度はいくらだったのか?

実際に体験したと繰り返し防衛大臣が語っているシミュレーターで、表示されるのは降下率だけではあるまい。着陸までの滑空距離も、着陸直前の前向きのスピードも表示されるだろうし、当然 パイロットは見ていなければならない。
そもそもシミュレーターでオートローテーションに入った時に、どこに降下しようとしたのか? まともなシミュレーターなら、降下地点の画像が表示されるはずだ。機能したというオートローテ ーションで降下した場所と、オートローテーション開始地点との距離は何メートルだったのか?

シミュレーターで滑空距離のパラメーターがどのように設定されていたのか?
パイロットが降下速度だけに注目していたなんてことはありえないから、滑空距離はパイロットに聞けばすぐわかる。その数字を出して初めて、オスプレイのオートローテーションがどのように シミュレートされているかがわかる。
それにしても、改善を重ねた結果が降下速度が時速90キロとは。リボロ氏の証言の信ぴょう性にケチをつけるために、証言当時と現在の(3年間での)技術革新の進歩を言いたかったのだろうが 、それがすぐに馬脚を現すところが、防衛省らしいところだ。もし「めざましい技術革新」に自信があるなら、オスプレイの実機での最終降下速度と最大滑空距離の実測値を示せばいいことだ。 それが出来なければ、防衛大臣のいうオートローテーション機能は空中に浮かぶあだ花でしかない。

(RIMPEACE編集部) 

森本防衛大臣の吉田議員(社民)に対する答弁

リボロ氏の指摘は、その時期にはそれぞれ技術的に妥当性のあった面もありましたが、過去にさかのぼって考えてみると、その後技術革新が行われて指摘されている部分が改善されている部分が 多い。特にオスプレイのオートローテーションは、先日わが方から調査チームを送り込んで実際にシミュレーターの中に入って体験をしてもらった。

オートローテーション機能は他のヘリよりも低い、降下率は他のヘリと比べて高いが、ソフトランディングとはいかないまでも機体の安全が維持されるようにある種の改善が施されている。リボロ さんが指摘された時点では正しかったものもあるが、その後相当に改善されている。我々の認識はそういうものだ。

少なくともオートローテーションの機能は相当改善されている。パイロットの操縦に起因する機体の振動も、その後の振動はほとんどないということだ。

先日神風政務官を団長として、ニューリバーの海兵隊の基地で、わが自衛隊の海空のパイロットがオートローテーションのシミュレーターの中に入って体験してもらった。その結果、降下率、 2つのエンジンを止めた状態で回転翼の揚力を使って降下する降下率が普通のヘリに比べて相当高くて、1分間に約5000フィートくらい落ちてくるということです。しかし最後にランディングする ときは2、3回クッションがあったものの、機体そのものは安全に着陸できるということで、オートローテーションの機能があるということは実際に体験したが、先にも言ったように、通常の ヘリコプターに比べて降下率は高いということを体験をして得た。

リボロ氏の議会証言の2009年以降、技術革新を事故のたびにアメリカは行っていて、このオートローテーションも約90日に一度づつパイロットは必ずシミュレーターの中でで訓練を重ねていて、 このオートローテーションの機能が実際に機能することを体験して飛行している。技術革新は日夜改善が加えられ運用が続けられている、と理解している。


2012-9-2|HOME|