日米合同委員会合意の「安全性」が吹っ飛んだ

普天間場周経路とオートローテーション(2)

オスプレイは、ヘリモードではこれまでのヘリと同じ場周経路を飛ぶ。固定翼モードでは、プロペラ機の場周経路を飛び、途中からヘリモードに転換する。オスプレイの「場周経路の安全性」を 考えるには、2つの場周経路についてオートローテーションとの関係での「安全性」を考えなければならない。

基礎資料一覧及びコメント

1.「普天間飛行場に係る場周経路の再検討及び更なる可能な安全対策についての検討に関する報告書」(2007.8.10 日米合同委 承認)
http://www.mofa.go.jp/region/n-america/us/security/report0708.pdf (英語)
http://www.mod.go.jp/j/profile/choushi/archive/hodo/070810-1.htm (日本語)
CH53D墜落事故の報告書に含まれていた勧告「現地の米軍及び日本国政府機関、並びに必要に応じ中央レベルの機関は、場周経路を再検討し、更なる可能な安全対策について検討を行う。 その結果は、適時適切に合同委員会へ報告される。」に基づく報告書。普天間基地のヘリはオートローテーション機能があるから、場周経路を少々はみ出しても基地内に安全に戻れる、とする 「安全宣言」

2.「普天間飛行場における回転翼機の飛行状況について」(2011.10.6 沖縄防衛局)
http://www.mod.go.jp/rdb/okinawa/07oshirase/kikaku/kikakubu-info/231011futenmahikoujyoukyou.pdf
普天間基地のヘリが、場周経路からはみ出して飛んでいることを防衛省自らが確認した調査結果。「今回の調査結果は、米軍が報告書(1.の報告書)を守っていないということを示すものではない」 という後世に残る珍解釈を述べている。ただ、この珍解釈は、日本政府が米軍ヘリの場周経路からの大幅なはみ出し飛行を認めていることを示している。

3.「MV-22の普天間飛行場配備及び日本での運用に関する環境レビュー最終版 」(2012.4 米海軍省、太平洋海兵隊)
http://www.mod.go.jp/rdb/okinawa/07oshirase/kikaku/kankyourebyu.html (英語版の入り口、沖縄防衛局)

日本語版は沖縄環境ネットワークがアップ。
@ エグゼクティブ・サマリー  http://www.oki-kan.net/pdf/MV22/02_MV22.pdf
A 本文  http://www.oki-kan.net/pdf/MV22/04_MV22.pdf
B V−22オスプレイ環境レビュー等データ集  http://www.oki-kan.net/pdf/MV22/03_MV22.pdf
オスプレイが普天間基地でどんな飛び方をするか、高度、ナセルの角度、速度、着地までの距離が詳しく出ている。これを見ると、次の「オートローテーション」の初期設定がいかにナンセンスか が一目瞭然。

4.「MV-22オスプレイ オートローテーションについて」(2012.9.19 防衛省)
http://www.mod.go.jp/j/approach/anpo/osprey/dep_4.pdf
オートローテーションと滑空を堂々と取り違えている、珍しい公文書。滑走路がないと安全に降りられない、空き地に降りるなんてとんでもない、というしろものを、なぜか防衛省はオートローテ ーションと強弁する...。

「シミュレータによるオートローテーション訓練視察」というからには、米軍兵士がシミュレータの中で操作するのを視察したのだろうが、米軍はこれがホントにオートローテーションの訓練だと 言ったのだろうか。米軍は普天間基地周辺で緊急事態となった時に、空き地にも降りられないようなオートローテーションを定期的に訓練しているのだろうか?

叩けばいくらでもホコリが出てくるこの文書、せっかくだから防衛省が言う通りのオートローテーションで示された滑空率2:1、を使って場周経路飛行の安全性が確保されるのかどうかを検討し てみよう。防衛省が自ら堀った墓穴の中をのぞいてみる。

(RIMPEACE編集部)




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