「70WECPNL以下」の不思議・・・その2
辺野古の新基地は普天間基地の代替基地として日米両政府が考えているものだ。中型輸送ヘリCH46が同機数のオスプレイに置き換わる
ことを除くと、常駐する回転翼機の構成は変わらない。基地が本島北部に移ったからといって、沖縄の演習場・射爆場や近隣基地への飛行
任務に変化はない。
2010年1月から11年3月まで沖縄防衛局は普天間基地飛行状況調査を行った。結果は11年11月に回転翼の飛行航跡のみが発表
された。
月ごとにまとめられた航跡図のうち、2010年12月分が以下の図だ。ピンク・ブルー・オレンジ・ダークグリーンの曲線が、事象例で
沖縄防衛局が説明しているように進入・出発経路だ。そして黒と肌色のトラック状に閉じたカーブが場周経路をたどる航跡だ。(実は、
場周経路をはみ出して民家の真上を飛んでいるのだが)
沖縄防衛局が各ルートを飛行する機数をなぜか明らかにしないので厳密な数字は出ないが、それぞれの航跡の密度を見ただけでも、演習
空域や基地への飛行に用いられる進入・出発経路の飛行回数が、場周経路の飛行回数より多いことは分かる。そのことを、調査を実施した
沖縄防衛局も十分認識しているはずだ。
2010年12月、普天間基地ヘリ飛行航跡集約図(2011.10.6 沖縄防衛局作成)
「普天間飛行場における回転翼機の飛行状況調査結果について」(11.10.6 沖縄防衛局)の別図「飛行航跡の事象例」
少なくとも普天間のヘリの飛行の半分以上がこの進入・出発経路だ。CH46がオスプレイに交代しても、この傾向は変わらない。オスプレイ
の離陸・着陸も、大部分が有視界飛行方式でおこなわれるからだ。
普天間代替基地でも飛行形態に差が出るはずもなく、ヘリやオスプレイが新基地で飛行する経路は有視界の出発・進入経路が半数を占める
ことは間違いない。
アセス評価書では、新基地で少なくとも飛行の半分を占めるはずの飛行経路が「現時点で決まっていない」ために存在しないものとされて
いる。飛行経路が決まらなければW値が決まらないことは、防衛施設庁が示したフローチャートを見れば自明のことだ。
飛行の半数を占める経路を無視して造った騒音コンターでは、騒音を評価したなどとはいえない。これでは評価なき評価書だ。
アセス評価書といえないものを提出して、事務的にことを進めようとしてもダメだよ、日本政府のみなさん!(続く)
(RIMPEACE編集部)
2012-1-19|HOME|