辺野古アセス「評価書」を評価する

場周経路設定の危うさ・・・その1


アセス評価書に描かれたヘリ、オスプレイ、固定翼機の有視界飛行の場周経路図。黄色い丸のところで計器飛行着陸ルートとクロスする

普天間代替基地の有視界飛行の場周経路図が、評価書第2章2.6、代替施設の運用等の部分に記載されている。上掲の図は南西寄りの風が吹いているときのパターンだ。 普天間基地でよくみられる、ヘリやプロペラ機のタッチアンドゴーの際の飛行経路に相当する。
場周経路が隣の滑走路の側に設定されていることに驚かざるをえない。

2本の滑走路を持つ飛行場・基地で、隣の滑走路の側にヘリの場周経路を設定している例があるだろうか?
上手で黄色いまるで囲ったポイントで、着陸の最終コースで、着陸経路がクロスする(もちろん高度差も無いに等しい)ことになる。

普天間基地で仮に滑走路の両端近くを場周経路が通っていたらどんなに危険か、嘉数の高台からヘリや固定翼機の飛行を見ればすぐにわかる。
下の普天間基地の配置図(国防総省が出している FLIGHT INFORMATION PUBLICATION、いわゆる黄本の普天間基地の図より)には、黒い筋で書かれた滑走路と平行に誘導路が載っている。 その誘導路のところどころにヘリパッドが配置されている。

このヘリパッドから飛び立ったヘリが、滑走路側に旋回して滑走路の延長線上を横切り、ぐるっと回って再び滑走路の延長線上を横切ってヘリパッドでストップアンドゴーを行えば、 計器飛行方式で滑走路に降りてくる、もしくは出発する固定翼機と、有視界飛行方式で飛ぶヘリとのニアミスの危険が増す。
普天間でそんな飛び方は見たことがないが、それを辺野古の新基地では恒常的に行おうというのだ。

「世界一危険な飛行場」の代替基地に、危険な経路設定がされているのはなぜか?
隣の滑走路と反対側に場周経路を設定すると、特に辺野古の集落に場周経路を飛ぶヘリやオスプレイの爆音が降り注ぎ、70W以下などといえる状況でなくなるからだ。
経路設定の危険性と、現段階での騒音の増加を天秤にかけた防衛省が、とりあえず騒音を見かけ上少なくする経路を引いたというのが真実だろう。
その裏には、作ってしまえば、あとは米軍の都合と言って、飛行経路の変更を押し付ける意図があろう。(続く)


普天間基地の配置図。誘導路付近のヘリパット(赤丸)と黒い筋の滑走路との位置関係に注目

(RIMPEACE編集部)


2012-2-7|HOME|