場周経路設定の危うさ・・・その3
隣の滑走路側に場周経路をつくるなんてバカなことをせずに、普天間や嘉手納のヘリ場周経路から類推した「新基地」の経路(黄色い楕円)
辺野古新基地のアセスで示された飛行場の場周経路は、危険この上ない、隣の滑走路側に大きくはみ出る経路だった。
普天間基地のヘリの場周経路から類推される、滑走路と700メートル離れて、滑走路長をフルに使った経路をV字の隣の滑走路と反対側にひいてみると、図の黄色の楕円となる。
飛行経路に何の制約もなければ、もしくは実際より騒音を少なく見せようなどという不埒なことを考えなければ、新基地の場周経路はこの形・位置になるという見本だ。アセスで前提とされた
ヘリの場周経路が、いかに大きくなっていて、普天間での経路の何倍もの距離を1回の周回飛行で飛ぶかが一目瞭然だ。
こんな非効率な経路をはたして米軍が了承しているのかも不明だが、少なくともアセスを乗り切ればいい、という観点からひかれた経路であることは間違いない。
アセスではまったく触れられていない、新基地への進入・出発経路も、嘉手納の場周経路の図を見ればわかるように、場周経路から出発し、場周経路に合流して着陸するのが一般的だ。
アセス評価書に記された場周経路の途中から出発・進入するのだったら、その旨が記載されているはずだ。
さすがに国道を隔てたシュワブの演習場のヘリパッドに飛ぶのにも大回りの場周経路を飛ぶ、という調整は米軍との間で不調に終わったと見えて、直接基地に出入りするルートは「後出し」だらけ
の評価書でも、いまだに隠されている。
これだけ危険を伴い、これまでの場周経路の常識をはずした経路を引いたのは、新基地周辺の民家の騒音を、計算上70W以下に抑えるためだ。それでも進入・出発経路を考慮すれば、評価書の騒音
の値よりは上がる、特に辺野古の集落に関しては。
要するに、近隣の集落の騒音を70W以下に抑えてヘリやティルトローター機の基地を辺野古につくることは無理なことなのだ。辺野古に基地を作ろうという試みは、騒音一つとっても軍事的な
目的を最優先させて、周辺住民の犠牲を強いるものでしかない。(止め)
(RIMPEACE編集部)
評価書の場周経路をそのままに、「民家の上を飛ばない」ことを条件にひいてみた出発・進入
経路(緑色の直線)。真上を飛ばなくても周辺住民には評価書で計算した以上の騒音が降り注ぐ
2012-2-14|HOME|