カナダ海軍フリゲート艦、ホワイトビーチに寄港


9月23日にホワイトビーチに接岸したカナダ海軍フリゲート艦「バンクーバー」(22.9.24 世嘉良 学 撮影)

左の海軍桟橋に「バンクーバー」と海上自衛隊の音響測定艦「はりま」、右の陸軍桟橋に海自護衛艦「じんつう」が停泊している(22.9.24 世嘉良 学 撮影)

9月23日、沖縄のホワイトビーチにカナダ海軍のフリゲート艦HMCSバンクーバー(HMCS Vancouver FFH 331)が入港した。

バンクーバーは、9月20日に米海軍駆逐艦ヒギンズ(HIGGINS DDG 76)とともに台湾海峡を北上して通過し、ホワイトビーチにやって来た。
台湾海峡通過の前には、日本の海上幕僚監部の発表によれば8月30日から9月7日にかけてグアム周辺から南シナ海に至る海域で行われた米加日合同軍事演習「ノーブル・レイヴン22」(Noble Raven 22)に参加している。
バンクーバーは、この合同軍事演習の終了後に寄港したフィリピンのマニラ南港をヒギンズとともに9月16日に出港し、台湾海峡通過前日の9月19日には、やはりヒギンズとともに、米海軍ヘンリー・J・カイザー級給油艦のビッグホーン(Big Horn T-AO-198)から補給を受けている。

このカナダ海軍のフリゲート艦が米駆逐艦とともに行った台湾海峡通過は、もちろん中国への軍事的な牽制活動だ。
米軍は、日本時間の8月28日にも、巡洋艦アンティータム(ANTIETAM CG 54)とチャンセラーズビル(CHANCELLORSVILLE CG 62)の2隻に台湾海峡を通過させている。
わざわざ軍事的緊張を高める行為の応酬が続けられているのだ。

台湾海峡通過だけでなく、南シナ海などで実施された米加日合同軍事演習「ノーブル・レイヴン22」も、演習の実施場所からみても、米軍を中心とする対中国牽制活動の一環としての面を持っていたと言えよう。
この軍事演習に海上自衛隊は、「IPD22第1水上部隊」と称して今年6月から10月までの長期任務航海の途上にある「空母」「いずも」と護衛艦「たかなみ」に参加させている。
つまり、海上自衛隊も、「空母」や護衛艦をわざわざ南シナ海などに派遣して米加両国と軍事演習を行ったのだ。
実力組織の暴走というべき事態が起きている。

ところで、今回、カナダ海軍の軍艦バンクーバーは、在日米軍基地であるホワイトビーチにいかなる法的根拠で入港したのだろうか。
米国以外の国の軍隊が日本国内の米軍基地を使用できる法的根拠などに関して、2021年9月28日に福島みずほ参議院議員が外務省に資料請求の形で質問を提出している。
質問に対して外務省は、「在日米軍の施設・区域は、日米安保条約第6条に基づき米軍に対してその使用を認めているものであり、国連軍地位協定に基づく使用を除くほか、第三国の軍隊が在日米軍の施設・区域を使用することは日米安保条約上原則としては認められません。もっとも、いかなる様態であっても日米安保条約上禁じられているというものではなく、同条約の許容する範囲内のものであるか否かについては、個々の事案に即して判断されるべきもの」などと回答している。
安保条約の「許容する範囲内のもの」とは一体何かについて、外務省は具体的に何も述べていない。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)


防衛省海上幕僚監部が発表した「ノーブル・レイヴン22」の概要

米軍の画像サイトに掲載された、「ノーブル・レイヴン22」の写真。9月6日に南シナ海で駆逐艦「ヒギンズ」の艦上から撮影したという。
斜め前方に見える3隻の艦船の左側が「いずも」、中央が米海軍給油艦「ジョン・エリクソン」、右側が「たかなみ」
米海軍画像サイトDVIDSより引用
(https://www.dvidshub.net/image/7411451/uss-higgins-participates-multi-lateral-exercise)


ホワイトビーチの陸軍桟橋に停泊中の、海上自衛隊の護衛艦「じんつう」(22.9.24 世嘉良 学 撮影)


2022-9-26|HOME|