在韓米軍のF16戦闘攻撃機、8日間も下地島空港を軍事利用


F16とその修理支援の名目でやって来た米軍機が並ぶ下地島空港(23.4.14 琉球弧ピースネットより)


2機のF16。在韓米軍烏山基地所属の機体だ(23.4.15 琉球弧ピースネットより)


4月8日午後3時20分頃、在韓米軍烏山基地所属のF16戦闘攻撃機2機が、エンジントラブルを理由に下地島空港に緊急着陸した。タイからの帰途と報道されている。

翌9日、「ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会」は、空港フェンス前で抗議した。「下地島空港は平和利用しか許されない。軍事利用は認めない。ただちに退去してください」と訴えたと報道されている。下地島空港は3000mの滑走を持ち面積361.5ha、地方管理空港で沖縄県が管理している。空港設置が決定された1971年に「屋良覚書」が締結され、「日本国運輸省(現・国土交通省)は航空訓練と民間航空以外に使用する目的はなく、これ以外の目的に使用することを琉球政府に命令するいかなる法令上の根拠も持たない」ことが確認されている。以来、軍事利用は抑制されて来た。

ところが、今年1月、米海兵隊は「人道支援、災害目的の習熟飛行」のため、米軍普天間基地のCH-53大型ヘリ2機とH1ヘリ2機の使用届を提出したが、沖縄県が「自粛要請」を出し、海兵隊は使用を諦めた経緯がある。それから、わずか3ケ月で、在韓米軍のF16戦闘攻撃機の緊急着陸である。

しかも、離陸まで8日間も下地島空港にとどまった。その間、嘉手納基地の第353特殊戦航空群所属のMC-130輸送機が器材を、C-12J小型輸送機が要員を運んでいる。MC-130輸送機は少なくも2回、飛来している。

周辺の状況を見れば、4月7日から10日かけては中国海軍の空母山東等4隻の艦隊が、台湾の東方海域−宮古島の南方約400kmの海域と統合幕僚監部は発表−で、艦載機の離発着訓練を行った。4月11日からはフィリピンでは米比合同軍事演習バリカタン23が、米軍1万2200人、フィリピン軍5,400人、オーストラリア軍111人という過去最大規模ではじまった。

4月13日には日本海で航空自衛隊のF2攻撃機と米空軍三沢基地のF16攻撃機が共同訓練を行った。4月13日と14日には、南シナ海で佐世保基地所属の護衛艦「きりさめ」と横須賀基地配備の米海軍イージス艦ミリアスが合同訓練を実施。

4月16日午前9時半ごろ、F16戦闘攻撃機は離陸して嘉手納基地に向かった。翌17日から韓国の光州基地で韓国軍のF-35Aステルス戦闘機、米軍のF16戦闘攻撃機など1400人が参加する合同軍事演習がはじまった。下地島空港を飛び立ったF16は、この演習に参加したのだろうか。

あまりにもキナ臭い状況の中で、F16戦闘攻撃機は下地島空港を軍事利用した。

(木元 茂夫)


修理支援を理由として下地島空港に飛来したMC-130(23.4.16 宮古島住民 撮影)


2023-4-22|HOME|