過去最大規模のレゾリュート・ドラゴン演習

タイフォン・ミサイルシステムは岩国基地から撤去されず


9月16日 石垣駐屯地での共同記者会見。中央右、鳥海陸将、左、ターナー中将。
背後の装備は左から、短距離防空システム「マディス」、対艦ミサイル「ネメシス」、陸自の12式地対艦ミサイル
(米軍画像サイトDVIDS掲載の動画「RD 25 III MEF and Western Army Commanding Generals Hold Press Conference B-Roll」より引用)
https://www.dvidshub.net/video/977201/rd-25-iii-mef-and-western-army-commanding-generals-hold-press-conference-b-roll

 陸自と米海兵隊の合同演習レゾリュート・ドラゴン25は、9月11日から25日までの日程で、琉球弧から九州にかけて、そして北海道で展開された。
自衛隊14000人、米軍5000人が参加し、2021年からはじまったこの演習で最大規模となった。

 9月12日、トマホーク巡航ミサイル(射程1600km)と、対艦・対空ミサイルSM-6を組み合わせた「タイフォン・ミサイルシステム」が、山口県の岩国基地に展開した。日本初の事例だ。

 9月15日、石垣島に航空自衛隊のC-130輸送機で、無人対艦ミサイルシステム・ネメシスが運び込まれた。射程250kmのミサイルである。これまで運用されてきたハイマースに比べると、射程距離は倍以上となった。今回も「日米共同対艦戦闘訓練」が実施され、共同調整所を設け攻撃目標を割り振って訓練が行われたようだ。

 9月16日には、石垣駐屯地で日米の共同記者会見が行われた。陸自西部方面総監の鳥海陸将は「日米連携要領の具体化が重要」と強調した。第3海兵機動展開部隊司令官のターナー中将は、「ネメシスの継続的な配備を追求していく」と強調した。


熊本県の健軍駐屯地の正門。九州と沖縄の自衛隊を統括する西部方面総監部が置かれている(25.9.14 木元 撮影)


9月14日 健軍駐屯地近くで。沖縄うるま市に配備されている「第7地対艦ミサイル連隊」の車両(25.9.14 木元 撮影)


健軍駐屯地内に張られた大型テント群の一部(25.9.14 木元 撮影)

 九州では熊本県の西部方面総監部のある健軍駐屯地に大きなテントが張られ、日米共同調整所が設置された。
健軍駐屯地の周辺では「第7地対艦-2」と可書かれたトラックが走っていた。これは沖縄県うるま市に 配備されている第7地対艦ミサイルのトラックである。


熊本空港に隣接する高遊原分屯地に展開した米海兵隊の大型輸送ヘリCH-53E(25.9.14 木元 撮影)


普天間基地所属のCH-53Eは9月30日には、厚木基地で2機が周回飛行を行った(25.9.30 木元 撮影)


大分県、十文字原演習場。陸自の燃料車両(25.9.15 木元 撮影)


大分県、十文字原演習場。米海兵隊の燃料車両(25.9.15 木元 撮影)

 大分県の十文字原演習場では、「共同兵站訓練」が行われ、陸自と海兵隊のタンクローリーがやってきた。
このあと、陸自のオスプレイV-22、米海兵隊の攻撃ヘリAH-1Zなどが飛来し、燃料給油を行った。陸自が米海兵隊の航空機に燃料を給油するような、「相互給油」が行われたかどうかは、残念ながら確認できていない。

 日出生台演習場では、「対着上陸戦闘訓練」「共同対艦・対空戦闘訓練」「共同戦闘射撃訓練」等が行われた。
上陸してきた相手に対する戦闘、接近して来る艦艇と航空機に対する戦闘、島嶼部に展開した相手部隊との戦闘の訓練、というところか。


日出生台演習場の駐車場にズラリとならんだ陸自の車両(25.9.15 木元 撮影)

 レゾリュート・ドラゴン25は、新たなミサイルを持ち込んだことと、後方支援を重視したことが特徴だ。
岩国基地に展開した「タイフォンミサイルシステム」は10月27日時点で撤去されておらず、福田良彦岩国市長も「当初の説明とかなり違ってきている。こうした米側の対応が状態化すれば、信頼関係を損なうことになる」(「中国新聞」10月17日付)と発言した。

(木元 茂夫)


2025-11-15|HOME|