長射程ミサイルの配備開始
熊本、静岡、そしてトマホーク

健軍駐屯地(26.2.23 木元 撮影)
3月31日、2つのミサイルが熊本と静岡に配備された。
陸上自衛隊の西部方面総監部が置かれている熊本県の健軍駐屯地には、「12式地対艦誘導弾能力向上型」が配備された。射程距離が1000kmにも達する長射程の巡航ミサイルで、地上に配備して海上から接近してきた艦艇を攻撃すると防衛省は説明してきた。しかし、「地上攻撃も出来るのではないか」という疑念を多くの人がもっている。
2026年度防衛予算には「12式地対艦誘導弾能力向上型(地発型)及び地上装置等の取得」に177億円が、同誘導弾の艦発型の取得費として357億円が計上されている。さらに、「新地対艦・地対地精密誘導弾」の開発費として413億円が計上されている。地上攻撃のできるミサイルが堂々と開発されつつある。
これまで「専守防衛」を掲げている自衛隊が保有していたミサイルは射程距離200km以下で、イージス艦「はぐろ」(DDG180)だけが例外的に射程約400kmの17式艦対艦誘導弾を積んでいた。
「12式」の配備によって中国大陸の沿岸部が射程圏内に入った。

12式地対艦誘導弾の発射試験(防衛省資料より引用)
陸上自衛隊の開発実験団・装備実験隊が置かれている静岡県の富士駐屯地には、「島嶼防衛用高速滑空弾」が配備された。
これも全国で初めての配備である。今回配備されるのは「早期配備型」で射程距離は300〜500kmと推測される。
その次には「能力向上型」(Block2Aと2Bがある)の配備を予定している。2Aは2027年度以降、2Bは2030年度以降というのが防衛省のたてたスケジュールである。
防衛省は射程距離を正式に発表していないが、2000kmから3000kmに達すると報道されている。3000kmになると中距離弾道ミサイルである。
2000kmだと東富士演習場から発射しても与那国島と台湾の間あたりまで到達することになる。

富士駐屯地には富士教導団(訓練等で相手方部隊に扮する部隊)、情報学校、開発実験団が置かれている(26.3.31 木元 撮影)

富士駐屯地(26.3.31 木元 撮影)
陸上幕僚監部は3月31日付で「12式地対艦誘導弾能力向上型」を「25式地対艦誘導弾」に、「島嶼防衛用高速滑空弾」を「25式高速滑空弾」に呼称変更したと発表した。

高速滑空弾の輸送試験(防衛装備庁資料より引用)
配備先は明らかにされていないが、米国レイセオン社製の射程1600kmのトマホーク巡航ミサイルも、日本に配備されつつある。小泉防衛大臣が3月13日の記者会見で明らかにした。
また、イージス艦「ちょうかい」の改修について、3月31日、斉藤聡海上幕僚長は定例記者会見で、
「先週3月 26日(現地時間)、護衛艦「ちょうかい」は、昨年10月以降、米海軍の支援の下、トマホーク発射機能付加に必要な改修と乗員に対する教育・訓練を実施してきたところ、今 般、海上自衛隊として初めてトマホークの発射能力を獲得しました。本年夏頃までに乗員の練度を含め、実際の任務に従事できることを確認するため、実射試験を実施する予定です」と述べた。
さらに、質疑応答では、
「Q:イージス艦「ちょうかい」に関連しまして、トマホーク、イージスウェポン・システ ムいずれも米国製の武器ですが、日米が同じアセットを使うことの運用上のメリットが あれば教えてください。
A:同じものを使うということで、不具合が生じた場合の部品の取り回し等については、 日米でしっかりと行えると思っております。また、その発射に係る運用に関わる部分に つきましては、意思決定はあくまでもそれぞれ別々ですので、自衛隊は自衛隊でしっか りと行う必要があるといますが、情報収集も含めて様々な場面で日米が協力してやると いうことは、様々な面で出てくると思いますので、そういったものは、今後の訓練等で 期待できると思っています」と述べた。
「部品の取り回し等」はやると明言した。今後の運用で日米軍事一体化が一段と進むことが懸念される。
3月28日のワシントン発の共同電は、「米軍が対イラン攻撃開始から4週間で米国製巡航ミサイルトマホークを850発以上使用した」と報じている。驚くべき大量使用である。
(木元 茂夫)
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