海自鹿屋基地に米軍「タイフォン・ミサイルシステム」配備
レゾリュートドラゴン26(6月)〜オリエント・シールド演習(10月)までの4ケ月余

鹿屋基地を見下ろす。8月8日9時30分頃。残念ながらタイフォン・ミサイルシステムは外に出ていない(26.8.8 木元 撮影)

鹿屋基地の駐機場にならぶP-1哨戒機3機。8月8日9時30分頃(26.8.8 木元 撮影)

鹿屋基地正門。8月7日15時30分頃(26.8.7 木元 撮影)
2026年6月7日、鹿児島県の海上自衛隊鹿屋基地に米軍のC-17輸送機2機が飛来し、中距離ミサイル発射装置「タイフォン」が搬入された。
「タイフォン」はトマホーク巡航ミサイル(射程約1,600km)と、対空・対艦ミサイルSM-6(射程約370km)を組み合わせたもので、他国の領土の攻撃も、日本に接近して来る艦艇や航空機の迎撃も可能なミサイルシステムである。
あわせて高機動ロケット砲システム・ハイマース(射程距離はミサイルの場合約300km、ロケット砲の場合約70km)も持ち込まれた。

2026年5月、九州防衛局から鹿屋市宛て提供資料「日米共同訓練の参加に伴う米陸軍のミサイルシステムタイフォン及びハイマースの鹿屋航空基地への一時展開について」より引用
「タイフォン」は、2024年4月に米比合同演習でフィリピンに、2025年9月には米海兵隊と海上自衛隊が共同使用する山口県の岩国基地に、そして今回、自衛隊が単独使用する鹿屋基地に持ち込まれた。ただし、ミサイルそのものを持ち込むかどうかについて防衛省は「アメリカ軍の運用に関わるため、回答できない」としている。
「タイフォン」の運用にあたるのは、ハワイからやってきた米陸軍の第3マルチドメイン・タスクフォースである。少人数ながら、陸海空軍の能力と、宇宙、サイバー、電子戦の能力を併せ持つ部隊である。
防衛省が5月に発表した資料には、「高い機動性を有する米軍のアセットを一時展開させ、日米間で共同訓練を積み重ねることは、米軍の機動展開能力を向上させるとともに、日米の即応性や相互運用性を向上させ、日米同盟の抑止力・対処力を一層強化させることに繋がるものと考えています。こうした意義に加えて、自衛隊の部隊運用と両立可能であること、アセットの航空輸送に必要な施設・設備を備えていること、一時展開できる地積を備えていること等を総合的に検討し、今般、鹿屋航空基地を使用することとしました」とある。
中国は即座に反発した。
5月22日の定例記者会見で担当報道官は、「中国は米国による中距離ミサイルのアジア諸国への配備に断固として反対し、関連問題について繰り返し懸念を表明した」と発言した。(「人民網日本語版」5月22日)
「タイフォン」の鹿屋への配置に次のような分析がある。
「防衛アナリストは、山口県から鹿児島県への移行は単なる地理的な調整ではなく、上海および隣接する工業地帯を守る(中国の)沿岸防空網に対する浸透深度を最大化するための計算された再配置であると指摘している。 この展開は、ハワイを拠点とする第3多領域タスクフォースのもとで実施され、2026年5月に発表され、6月22日から7月1日に終了したヴァリアントシールド演習の後、9月に予定されているオリエント・シールド演習に先立ち、視覚的に裏付けられています。 戦略的には、持続的なローテーション型タイフォンの出現は、ワシントンと東京が分散型の長距離射撃を制度化しつつあることを示しており、各展開を孤立した演習の脚注として扱うのではなく、地域の抑止力構造に深い影響を与えます」(「Defense Security Asia」 7月17日)。
これを読んで、日米の意図を中国は正確に認識していると感じた。中国が対抗策を打ち出してくれば、「タイフォン」の配備は「抑止力の強化」ではなく、「緊張激化要因」となってしまうだろう。
6月25日、沖縄のキャンプ・ハンセンに駐留する第12海兵沿岸連隊のリチャード・ナイカーク司令官は、「正式に配備を受けた最新鋭の対艦ミサイル発射装置「ネメシス」(射程距離約200km)と短距離防空システム「マディス」について、自衛隊の輸送協力を得て、緊急時に日本国内のどこへでも展開できる態勢を維持すると強調した」(6月26日「沖縄タイムス」)。
米海兵隊との実動訓練(レゾリュート・ドラゴン26、6月20日〜30日)では、大分の日出生台演習場、十文字原演習場、佐賀の目達原駐屯地、熊本の健軍駐屯地、高遊原分屯地、大矢野原演習場、鹿児島の奄美駐屯地、瀬戸内分屯地、民間の港である志布志、谷山、名瀬の港が使われた。
谷山港では陸自の12式地対艦ミサイル(射程距離約200km)を、自衛隊の「共同の部隊」である海上輸送群の小型輸送艦「にほんばれ」に積込み、奄美大島の名瀬港で陸揚げし、旧奄美空港に12式地対艦ミサイルを配置して対艦戦闘訓練を実施した。
一連の演習の中で、対艦ミサイルの占める位置が、次第に大きくなっている。
(木元 茂夫)
2026-8-14|HOME|