風前の灯、木更津の共通整備基盤。自衛隊は何を考える?
2012年10月に米海兵隊のオスプレイが普天間基地に配備されて、6年が経過している。5年に一度というオーバーホールのために、第1号機が木更津に飛来してすでに2年近くが経過している。
まだ1機も木更津で修理が完了していない。
自衛隊もオスプレイを導入して、オーバーホールを共同で行おう、として考えたのが「オスプレイの共通整備基盤」の木更津設置だった。しかし、修理の完了が遅れに遅れて「木更津の共通整備
基盤」は風前の灯となっている。
防衛装備庁が「木更津の共通整備基盤」について地元の自治体や市民に説明するために作った「木更津駐屯地における日米オスプレイの共通整備基盤について、2015年11月」の中で、
共通整備基盤の確立は「陸自オスプレイの円滑な導入」などに必要だ、と述べている。
「更に、技術力の高い日本企業が整備を担当することは、日本上空を飛来するオスプレイの安全性の一層の向上に資するものと考えます。」と言い切っている。まさか、仕切り直しが必要な状態
になるとは、思いもしなかったろう。
「技術力の高い日本企業が整備を担当」しても、2年近く立って1号機が飛べないのは、企業の側に問題がある、と防衛省も考えているのだろうか?「日本上空を飛来するオスプレイの安全性」に
疑問符がつくのは、整備を請け負った企業の責だというのだろうか?
防衛装備庁は共通整備基盤の確立の「具体的なメリット」として「陸自オスプレイの運用に先立ち、日本企業が行う米海兵隊オスプレイの整備に陸自整備員が立ち会い、早期に陸自整備員を養成
することで、陸自オスプレイを円滑に導入」をあげていた。「飛ばずの2年」の間、整備に立ち会ってきた陸自整備員は何をして、何を考えていたのだろうか?
オスプレイ整備員の養成どころか、整備の失敗をただ見続けてきたのではないか?それとも、「共通整備基盤」の機能しない原因を分析、改善しようとして「オスプレイの壁」にはばまれてきた
のだろうか?
オスプレイの複雑な機体構造、開発過程でつぎはぎした装備、ベル・ボーイングの対応、部品の供給体制とコストなどに問題がなかったのか。
今、米軍のイニシャチブで「木更津の共通整備基盤」が仕切り直しになろうとしている。仮に木更津の格納庫をこれまで通りに使って、別の企業が担当することになっても、これまでの経緯と整備
が極端に延びている原因を、関係する自治体と納税者に説明しなければならない。
まさに釈迦に説法だが、整備が予定通り進まない、というのは、オスプレイ導入のコストが増えるということだ。2年もストップするということは、導入する機数が想定する任務に対して極端に
不足する、ということだ。
日本企業が整備できなかったオスプレイの陸自への導入を、このまま進めてもいいのか、という根本的な問題も出てきた。この2年間、オスプレイの整備に密着してきた陸自は何を考えているの
だろうか?
(RIMPEACE編集部 頼 和太郎)
木更津基地遠望。オスプレイの修理格納庫も見える(2018.11.1 頼 撮影)
2019-1-11|HOME|