木更津の米軍オスプレイ・メンテ、仕切り直し 新局面(2)

木更津以外でもオスプレイ整備

2月20日のオスプレイメンテ契約応募者説明会で米軍が示したのは、2社と契約する、ということだった。現契約者であるスバルが仮に再度選ばれたとしても、もう1社別の会社が別の場所で オスプレイのメンテを行うことになる。木更津で2社が行うということはないのは、説明会の中で行われた以下の問答が示している。

(問) 日本国内の米軍施設を使用するために、何か政治的な支援があるのか? 木更津基地を利用できるのか? 岩国基地はこのメンテ契約企業の作業場を収容できるのか?

(答) 西太平洋艦隊即応センターは、この件についての合衆国政府の政治的な非公式会談について何もしらない。木更津基地では、今以上の施設の提供は今のところない。岩国基地では、 収容する余地がない。契約者が手配した施設を使う、というのが軍の要求だ。

この問答をみると、契約者が日本国内で作業する施設を探すのに、選択肢は少なそうだ。

木更津は、一社のメンテ・ラインを受け入れる場所はある。現在スバルがメンテ作業を行っている場所だ。それ以上を受け入れると、将来陸自のオスプレイをメンテする場所がとれなくなる。 だからこれ以上のオファーはない、ということなのだろう。

岩国基地も収容する余地がない、とすると、日本国内でメンテ作業に使われているのは厚木と沖縄が残るだけだ。「沖縄の負担軽減」を米軍がどこまで本気で考えるかどうかにもよるが、 NIPPIによる艦載機のメンテが岩国に移り、これまで厚木で行っていたメンテ作業の場所が空いていることを考えると、厚木でオスプレイのメンテを行うという選択肢が有力なものに思われる。

現行のメンテ契約の入札手続きが始まった2014年11月以降、日本国内の企業が落札するのを支援するために、防衛省は日本の企業に限った木更津基地のK格納庫使用希望者の募集を行った。 そしてスバルがオスプレイ・メンテの契約者となったあと、2016年いっぱいをかけて、米国基準に合うように消火設備を直したりした。

日本の企業に落札させるためにここまで肩入れしたのは、日米の「共通基盤整備」の名目で、陸自にオスプレイを導入したあとの整備を日本の企業に任せる意図があったからだ。実際、2016年 12月初めに、陸自オスプレイに対する役務調達の相手方を富士重工(スバル)に決定して公表している。

ここまで木更津−スバルの関係を固めてきた防衛省は、今回の契約でも木更津の使用をテコにスバルの落札を「政治的に」働きかけるのではないか。(続く) 、

(RIMPEACE編集部 頼 和太郎)


格納庫でメンテ作業中のオスプレイ(2019.2.20 Industry Day 資料より)


2019-3-16|HOME|