日本政府もオスプレイの危険性を認識−2

陸自オスプレイ配備と「佐賀基地」場周経路

自衛隊はオスプレイを米国から買って、佐賀空港周辺に配備しようとしている。陸自目達原基地のヘリ約50機とともに、17機の陸自オスプレイを佐賀空港の西側に駐屯地を作り配備し、佐賀 空港の滑走路を使うというものだ。
2015年10月29日に防衛大臣が佐賀県知事に概要を説明した。

「陸上自衛隊の佐賀空港利用について 防衛省・自衛隊」(平成27年7月)では、
【3. 佐 賀 空 港 周 辺 に お け る 基 本 的 な 飛 行 経 路 】 ( 有 視 界 飛 行 )
● 自衛隊が使用する飛行場においては、円滑な離陸、着陸 のため、場周経路(じょうしゅうけいろ)を設定し、自衛隊機が 滑走路への離陸や着陸を行う場合には、当該経路を飛行し、 離陸や 着陸を行うこととしています。
● 佐賀空港の北側には住宅地などが所在しているため、騒音の面でご負担を生じさせないよう空港の南側を飛行するこ とを基本として考えております。

として、以下の経路図(イメージ)が添付されている。


オスプレイの場周経路は長辺8キロ、短辺4キロの長方形の角を丸くした形になっている。この経路図の次ページの飛行経路断面図によれば、飛行高度は300〜500メートルだ。
オスプレイがこの場周経路を飛行中に両エンジンが停止した場合、「オートローテーションまたは滑空のいずれの場合においても、安全に飛行場内に着陸できる」のだろうか?

防衛省は2012年9月19日付けで「MV-22オスプレイ オートローテーションについて」という説明を公表した。防衛省がいうところのオートローテーションの図解の中で、オスプレイのオート ローテーションは滑空率は「およそ2:1」としている。例えば100メートル降下するうちに200メートル進む、ということになる。
では、少なくとも4キロメートル、最大で5キロ以上滑空しなければ空港内にたどり着かない佐賀空港の場周経路は、どのくらいの高度が必要なのだろうか。高度2000メートルでは足りずに 3000メートル近くが必要だ。

飛行高度500メートルの場周経路をオスプレイが飛んでいたら、滑空に切り替えても飛行場の3キロ手前で海中に墜落することになる。この海は、佐賀海苔の一大養殖地だ。周辺漁民の生活に 壊滅的な影響を及ぼすだろう。

今回暴露された普天間にオスプレイが配備される直前の2012年7月26日の日米合同委員会の会議録(要旨)では、日本側が「オートローテーションまたは滑空のいずれの場合においても、安全に普天間飛行場内に着陸できるような場周 経路を設定する必要がある旨」主張している。普天間基地の高度1500フィート(約500メートル)の場周経路が、オスプレイのオートローテーションでは安全に降りられないことを、 日本側は認識していた。

それから3年、オスプレイの性能が抜本的に改善されたわけでもなく、普天間の場周経路について設定変更が必要だと認識していた防衛省・自衛隊が、佐賀空港・基地では高度1500フィートの オスプレイが飛ぶ場周経路の危険性に頬かむりしたまま、オスプレイを配備しようとしている。

(RIMPEACE編集部)


「MV-22オスプレイ オートローテーションについて」より


2016-6-11|HOME|