安部墜落オスプレイの事故報告書を読む(2)


奄美低空飛行訓練ルートの経路図(国土地理院のWEBページの地形図を複写して加筆)

安部の海岸に墜落したオスプレイの事故報告書の付属資料には、本文中に記載のある奄美低空飛行訓練ルートの詳細がわかるデータが含まれていた。
本文中では「ドラゴン06機は、アマミ低空飛行訓練ルートを、高度500フィート、速度240ノットで飛行していた」(117)とあり、裏付けの資料は Encl.7 と示されている。
事故機のパイロットたちへの聞き取り調査記録と思われる Encl.7 は、公開された事故報告書からは削除されている。
ただ、飛行計画コースの各レグのデータを記した資料(Encl.20)から、事故機を含むオスプレイの2機編隊が普天間を離陸してから、どの方向に何海里飛んだのかがレグごとに わかる。これをつなぎ合わせてルート図にしたのが、(1)の飛行コースの全体図と、今回掲げた奄美低空飛行訓練ルートの経路図だ。

低空飛行訓練の途中で離脱した僚機のドラゴン05はともかく、事故機のドラゴン06は、経路図に示された青色の矢印のポイントから低空飛行ルートに入り、反時計回りに2周して 青の矢印に沿って低空飛行訓練ルートのループから離れた。
低空飛行ルートは奄美大島の西半分を通っているが、一部海上ルートがある。海上では500フィートの高度で飛び、陸上では地上から500フィートの高度を飛んでいる。陸上で最も 高いところで1980フィートを飛んでいて、このコースのすぐ横には奄美の最高峰湯湾岳(標高694メートル)があり、飛行高度はこの山頂より90メートルほど低い。

この奄美ルートは、オスプレイの配備前の環境レビューにも出てこない。ジェット攻撃機が飛ぶこれまで知られている低空飛行ルートとは全く異なる。
オスプレイは、配備後に岩国からオレンジルートを飛行したことはあった。しかし最近は岩国を離陸した後は、キャンプ富士や厚木、横田などに飛行することが多い。
オスプレイのために米軍は別の低空飛行ルートを沖縄に比較的近いところに設定して、そこで低空飛行訓練を行っているのではないだろうか?
この奄美大島のルートは、新規に設定されたルートの一つなのだろう。(続く)

(RIMPEACE編集部 頼 和太郎)


2017-10-25|HOME|