安部墜落オスプレイの事故報告書を読む(5)


「与論空港ダイバート情報」(Encl.55)の図にオスプレイの空中給油トラック(赤いライン)とヘリの空中給油トラック(青いライン)2本を筆者が書き加えた

事故報告書添付文書には、「2016年12月13日のVMM265のフライトスケジュール」と題する文書が含まれている(Encl.4)。VMM265は事故機が所属するオスプレイ飛行隊だ。

事故機と僚機の2機は低空飛行訓練と空中給油訓練が飛行内容であり、この2機に関するメモには、奄美ルートをこの2機が使用可能な時間帯とともに、空中給油訓練について「シ ャーク・トラックは20:30〜22:00の間予約されている。連絡先は第353特殊戦航空群」と書かれている。

シャークというコース名は別の添付文書「与論空港ダイバート情報」(Encl.55)の図のなかに出てくる。"SHARK IP","SHARK EP"の2点だ。IPは initial point,EPは end point を指す。
オスプレイの空中給油訓練ルートは、長さが約55海里(約100キロ)にすぎない。給油時のスピードが200ノットだから、16、7分で端から端まで飛んでしまう。空中給油 訓練時間が1時間とってあったから、シャーク・トラックを2往復する予定だったのかもしれない。

シャーク・トラックの近くには、嘉手納のレスキュー・ヘリHH60の空中給油訓練ルートもある。嘉手納の第18空軍の飛行手引書には、第17空軍特殊飛行隊の機体(MC130) と訓練するときのプライマリーなルート、と記されている。上掲の図の右側の青いラインのルートで、名前をシャーク・ロックという。シャーク・トラックと紛らわしい名前だが、 空軍の特殊部隊が管理する2つのルートが平面図で見ればクロスしている。
沖縄本島のすぐ近くに、オスプレイやヘリの空中給油訓練ルートがあって、MC130から給油を受ける訓練では、シャークの名を冠した2つのルートが主に使われている。 (続く)

(RIMPEACE編集部 頼 和太郎)


2017-11-8|HOME|