安部墜落オスプレイの事故報告書を読む(6/止)

12月13日に事故を起こしたオスプレイは、アマミ・ルートという低空飛行訓練ルートを飛んでいた。アマミ・ルートは、たまたま事故機が飛んだだけなのだろうか?

事故機の属するオスプレイ飛行隊の事故前4日間の飛行計画一覧が、事故報告書の添付文書(Encl.4)に出ている。4日前、3日前は土曜、日曜なので、飛行計画はほとんどない。

事故の前日の12日(月)には265飛行隊所属のオスプレイが3機飛行しているが、そのうちの2機が低空飛行訓練を行っている。いずれもアマミ・ルートを飛行している。

事故の起きた13日(火)は同飛行隊の7機が飛行し、2機が午前中に、あとの2機(事故機はこのうちの1機)は夜にアマミ・ルートを飛行している。なお、普天間にいるもう一つのオスプレイ飛行隊(262飛行隊・増強)との間でアマミ・ルートの時間を調整した、とあるので、262(Rein)のオスプレイまたはCH53などのヘリが、別の時間帯にアマミ・ルートを飛んでいることがわかる。

12月12、13日の2日間、飛行した第265飛行隊のオスプレイの半分以上がアマミ・ルートを飛んでいる。そして、ほかの低空飛行ルートの記述はない。

普天間のオスプレイが、相当な頻度でアマミ・ルートで低空飛行訓練を行っている、と想像がつく。

筆者の友人が11月初めに奄美大島に滞在した時も、オスプレイが頻繁に飛んでくる、という話を聞き込んでいる。古仁屋付近に飛来したという話も。古仁屋は低空飛行ルートが一番南下するあたりの地名だ。

オスプレイ普天間配備前に出された環境レビューでは、オスプレイはオレンジ、イエローなどの低空飛行ルートを年間330回飛ぶことを前提とした環境評価をしている。ところが、ジェット戦闘機が爆撃とセットで行う低空飛行の訓練ルートを、オスプレイは最近使っていないようだ。年間330回という低空飛行訓練がアマミ・ルートに集中しているのが、奄美大島に頻繁にオスプレイが現れるという目撃情報からも裏付けられる。

低空飛行ルートが沖縄から近い奄美大島上空に設定されれば、沖縄本島の北部訓練場や中部訓練場での着陸訓練や地形追随訓練、伊江島での模擬着艦訓練、本島周辺での空中給油訓練などと組み合わせた「効率的」なオスプレイの訓練ができる。

オスプレイの普天間配備前にはなかった「米軍機の奄美大島での低空飛行訓練」が常態化されている。奄美ルートの存在は、奄美大島上空を米軍が訓練空域として使用していることと同義だ。住民に一切説明なく、一方的に奄美大島が米軍基地に組み込まれたのと同じ話だ。 (了)

(RIMPEACE編集部 頼 和太郎)


環境レビューに載っていた訓練施設、空域、ルート図。AMAMI の文字はレビューのどこにもない。


2017-11-13|HOME|