再度問う、オスプレイの危険性−3

「一万年に一度」のトラブルが起きた!?

強襲揚陸艦マキン・アイランドから飛び立ったオスプレイ乗員の死亡事故についての、米海軍の発表をもう少し細かく見てみよう。
オスプレイが "lost power" したこと、そして2人の海兵隊員がオスプレイから "bailed" した、という2つがキーワードだ。

"lost power" とは、オスプレイのエンジンが2基とも停止した、ということだ。これまで、オスプレイの製造会社や、日本政府が先ず言ってきたのは以下の通りだ。

「2基のエンジンがパワーアウトして着陸することは、極めてまれだ」(ボーイング V-22 Osprey Guidebook 2011/2012)
「2基のエンジンが同時に故障する可能性は極めて低い− 同時故障確率=1×10-10 (100億時間に1回発生する確率)」(防衛省 MV-22 オスプレイ オートローテーションについて  2012.9.19)

その「極めてまれ」な事象が起きた。防衛省の確率計算を使って、どれほどまれなことが起きたか計算してみよう。
今、世界中で飛行しているオスプレイを、大目に見積もって600機、一機当たりの月間飛行時間を100時間とする。年間の総飛行時間は100*12*600=72万時間。

防衛省が(どんなデータに基づいて計算したのかわからないが)100億時間に1回発生する確率、というから、1万3千年に一回起きる確率だ。旧石器時代のお終いのころの人類が(石の) オスプレイを飛ばし始めたとして、現在までに1回起きるかどうか、というくらい「まれなこと」だ。
その「まれなこと」がペルシャ湾北部でこの10月1日に起きた。

このような事象が起きた時、あと1万年は起きないと考える人、確率計算の前提を見直す人もいるだろう。でも、実際に一度起きたことはまた起きるとみて、その前提でオスプレイのオートローテ ーションについて無事に降りられるかどうかの検証を行うのが当たり前だ。
次稿で、防衛省のいうオートローテーションを、このマキン・アイランドから発進したオスプレイに即して検証する。

(RIMPEACE編集部)


一機と一羽のオスプレイの編隊。一万年生き残るとすれば、間違いなくミサゴの方だ(岩国基地にて 2014.11.10 戸村 良人 撮影)


2014-11-20|HOME|