再度問う、オスプレイの危険性−4

防衛省は「出来る」というのだが...

「オートローテーションは出来ます!」
これがオスプレイの普天間配備前からの防衛省の見解だ。

2012年9月19日付けの「MV−22オスプレイ オートローテーションについて」(防衛省)の中で、「MV−22は、空力によってローターの回転数を一定に保つこと等により揚力を得 て、機体の姿勢及び定められた速度を維持しつつ着陸地点に向けて降下し、着陸直前に機首を上げて速度を制御し、機体を水平状態として着陸する手段が確立している。」と主張している。 次のページに、その図解まで付けて。

ところで、オスプレイの主要メーカーの一つ、ボーイング社が出した”V-22 Osprey Guidebook 2011/2012”では、「オスプレイはティルトローター機で、エンジン停止の際の緊急着陸にさいして はオートローテーションに頼らない。2機のエンジンが停止しての着陸はほとんどありえないが、必要とあらば 航空機モードで、ターボプロップ機のように滑空して着陸することができる。」と している。どうも、防衛省とボーイング社では、オートローテーションの定義が異なるようだ。

防衛省の資料の中の「オートローテーションの手順」 の図を見ると、ローターはヘリモードの位置にあるが、降り方はボーイング社が言うところの「滑空」と同じだ。これを「オートローテー ション」と言うのなら、ボーイング社は何で「オスプレイはオートローテーションに頼らない」と大威張りでいうのだろうか。ここは、やはり防衛省が滑空をオートローテーションと言い換えてま で「出来ます!」と言いたかった、というのが真相だろう。着地した時の速度が時速130キロでも、これはオートローテーションです、ってね。

ここで本題に。オートローテーションと名付けようが滑空と名付けようが、両方のエンジンが停止した時に無事に戻ってこれれば、名前の付け方は二の次だ。今回強襲揚陸艦マキン・アイランドを 離艦したオスプレイのエンジンが2つとも止まった時、この機体は防衛省が言うところのオートローテーションでもって安全に強襲揚陸艦の飛行甲板に着艦できたのだろうか?
着艦時の速度が130キロだったら、甲板上の他のオスプレイやヘリ、車両などに激突して炎上するか、運よくどこにもぶつからずに飛行甲板からダイブして海中にドボン、のどちらかだろう。

岩国市議会全員協議会で、シミュレーターによるオスプレイのオートローテーション訓練視察に基づいて説明した、海自のパイロットの方に聞きたい。シミュレーターには、今回の事故のように 揚陸艦から飛んで、(防衛省がいうところの)オートローテーションで着艦する状況は含まれていたのですか?
また、防衛省がオスプレイ導入を11月21日に決めたが、その「日の丸オスプレイ」をあなたがオートローテーションで「ひゅうが」の飛行甲板に降ろせますか?

今回の事故で、エンジンが2つとも停止した後、オスプレイから2人の兵士が脱出した。転がり落ちたのではない。"bail" は、パラシュート降下のように意図的に飛び出すときに使う言葉だ。 これは、オスプレイ乗員の避難規則により、2つのエンジンが停止した時の行動が規定されている、ということを示唆している。
この脱出行為の正当性については、今回の事故調査のキモの部分だから、調査報告書に必ず記載されるだろう。オスプレイは近くに長い滑走路がなければ、二発停止の場合にオートローテーション でも安全に降りられない「空飛ぶ棺桶」状態に陥ることが、海兵隊の内部規則からも明らかになるだろう。

(RIMPEACE編集部)


防衛省が図示するオスプレイのオートローテーション手順。これで本当に「ひゅうが」に降りられますか?


2014-11-23|HOME|