再度問う、オスプレイの危険性−8

3トン弱相当の出力不足のまま飛ぶオスプレイ

オスプレイは、開発中から死亡事故を繰り返し、開発期間も「アポロ計画より長い」。国防長官官房をサポートするチームでオスプレイの主任分析官を勤めたアーサー・リボロさんをはじめとして 、開発中からオスプレイの欠陥を指摘する声は多かった。
実戦配備が進んでいる今でも、その欠陥が改修されずにそのままになっているのも、重大な問題だ。

オスプレイの飛行時の出力が設計値よりも大幅に下回っているために、機体に取り付けるはずの装備なしで飛んでいる。機体を重くすることができないため、小火器から防御するための装甲もない 。
ほぼ1年前の2013年12月21日、米空軍第8特殊作戦中隊の兵士が3機のCV−22オスプレイに分乗して、南スーダンの遠隔地ボールから米国市民を脱出させる作戦を行った。目的地への最終アプ ローチを行っていた時に、地上から重機関銃、手りゅう弾発射機、小火器による迎撃を受けた。3機編隊のオスプレイは119発被弾した。(第1特殊戦群広報、2014.7.21)

この発表は、機体をウガンダのエンテベに飛ばして、重傷を負った乗組員の命を救った編隊指揮官を称賛するものだが、軍事的には明らかに任務未了の撤退だ。装甲板を機体に敷き詰めていれば、 乗組員が小火器などで負傷することはなかったのに、と思うが、装甲板の重みに耐えられないオスプレイでは望むべくもない。

事故を起こした福島第一原発の原子炉に上空から放水したとき、陸自ヘリCH47の乗員を放射線から守るためにキャビンの床にタングステンシートを張った。
この水投下作戦をオスプレイがやれるのだろうか?厚さ3ミリのタングステンシートは 、1平米あたりの重さが36キロとなる。オスプレイのキャビン面積を13平米とすると、厚さ3ミリのシートで覆うと468キロだ。
この重量増だけでも、外部に水のタンクを下げる場合に、操縦性は極めて悪くなる。ガンマ線の遮蔽率を.5にすれば、その3倍から4倍の重さになる。外部に水タンクを下げたオスプレイに耐えら れる重さではない。
原子炉の上空からの放水作戦はオスプレイには出来ないことだった、と言えるだろう。

設計値と実際の出力にかい離があり、その差は6000ポンド(2.7トン)だという主任分析官のリボロさんの指摘は、オスプレイの危うさを示す。そしてさまざまな使われ方の中で、できないこ とが明らかになってきている。

離着陸時のヘリモードでは、オスプレイのエンジンの排気は真下に向かう。高温の排気のために草が燃えたりするのを防止するために、排気ディフレクターをつけるのが、解決法だった。

2013年7月13日、米海兵隊のMV−22がノースカロライナ州デア・カウンティ射爆場内に着陸した時に、草地に火をつけた。当初の発表では小さな火事、とのことだったが、結局機体の損傷の 修理に200万ドル以上かかるなどのクラスA事故と認定された。
「火災によるダメージをこうむった」と海軍・海兵隊機クラスA事故のまとめに書かれている。

言うまでもないが、海中から人間を吊り上げるとき、真上を飛ぶのがオスプレイなら、草を燃え上がらせるような排気が被救助者にもろにあたってしまう。オスプレイは吊り上げ救助に最も不向き な機体だ、ともいえる。

(RIMPEACE編集部)


空中給油機KC130用の装甲板キット(2014.6.8 撮影)


2014-12-6|HOME|