シリーズ・沖縄の基地を視る(160)

周回コース大回り、普天間のCH53


太平洋側から右旋回して普天間基地にアプローチする、海兵隊のCH53E重輸送ヘリ


周回訓練を始めた1回目に、とてつもなく大回りをするCH53E。煙突は沖電火力発電所のもの
(10.12.10 撮影)

普天間基地の滑走路を南西側に伸ばしたところに嘉数高台がある。普天間基地に着陸する機体、周回訓練をする機体の動きをウォッチ するポイントだ。

12月10日午後、重輸送ヘリCH53Eが1機、普天間基地の東(太平洋)側を南下して、右に旋回して嘉数高台をかすめて普天間 基地に降りていった。94年8月に沖国大に墜落したCH53Dの着陸コースでもある。

続いて基地を周回して着陸・離陸を繰り返す訓練に移行したCH53Eは、最初の周回飛行でとんでもない「はみ出し飛行」をした。 墜落事故の直後は、基地のフェンス内で旋回していた海兵隊のヘリが、フェンスの外にはみ出してくるのに時間はかからなかった。 エンジンを止めても基地内に到達できるから大丈夫だ、と言いながら。

12月10日のCH53Eの飛行経路はそんな程度ではすまないものだ。嘉数高台で機影を追っていて、沖縄電力火力発電所の煙突が ファインダーに入ってきたのには驚いた。高台と煙突を結んだ線上にヘリが飛行していた。基地からの距離は約2キロのところを飛んで いて故障したら、どうやって「無事に」基地に戻るのだろうか。

世界一危険な基地、という言葉がラムズフェルド国防長官の訪沖後、よく使われる。直ちに撤去されなければならない基地を使って、 機体に大きなトラブルが起きたら基地に戻れないコースで、米軍は訓練飛行を行っている。
訓練のやり方で少しでも危険度を減らそうと言う意志すら感じられない。

(RIMPEACE編集部)


オレンジのラインがCH53の飛行経路。基地のフェンスから2キロも外側を周回している


2010-12-18|HOME|