シリーズ・沖縄の基地を視る(54)

嘉手納基地、事故の予兆あれこれ


離陸直後に引きこむべき主脚が引っ込まなくなったFA18ホーネット。岩国から来ている機体だ。


嘉手納基地の上空を旋回しながら、尾翼端から燃料を放出する当該機。左上はエスコートする僚機


無事着陸の後、駐機場で整備兵らに囲まれる海兵隊のホーネット(06.11.15 撮影)

11月15日、岩国基地所属で嘉手納に展開していたFA18ホーネットが離陸した直後に、主脚が引っ込まなくなった。このまま着陸すると、着陸装置が正常に働かない恐れがあった。

編隊を組んで訓練空域に向かうはずだった僚機にエスコートされ、しばらく嘉手納基地周辺を旋回したあと、引っ込まない脚をそのままで着陸することを決めたようだ。機体重量を落とすために、上空で燃料を放出し、数分後に無事に着陸した。
海兵隊機がまとまって駐機している場所までタクシーしていった当該機は、整備兵たちに囲まれていた。

翌々日、今度は嘉手納基地所属のF15が、滑走路の端で緊急自動車などに囲まれているのを目撃した。その前の状況はわからないが、緊急着陸した機体を取り囲んで点検していたと思われる。
こんな状況でも、米軍は緊急着陸だったとは言わない。予防着陸であって危険ではない、とことあるごとに繰り返す。

辺野古に造ろうとしているV字滑走路に、民家の上を通って着陸するコースの誘導灯新設の打診が米軍側からあった。それを伝えた防衛庁の幹部は、緊急時に使うために必要なのだろうと示唆した。
しかし、これまでの緊急着陸に対する米軍の言い方から見ると、米軍機には「余裕を持った予防着陸」と墜落の二つの場合しか当てはまるものはないようだ。「余裕を持った予防着陸」ならば、民家の上を通過する着陸コースに誘導する必要はないだろう。
もし「いつ墜落してもおかしくない」状況だったら、そんな機体を民家の上を通って辺野古に着陸するように米軍は誘導するつもりなんだろうか。

「反対側にも誘導灯」というのは、通常の訓練で両側から使いたい、という別の目的があると見た方が自然だ。

(RIMPEACE編集部)



緊急車両と防護服を着用した兵士に囲まれるF15。(06.11.17 撮影)


'2006-12-4|HOME|