シリーズ・沖縄の基地を視る(74)

那覇軍港で、見慣れた「糸巻き」発見 


那覇軍港の片隅に、トレーラーに載った大きな「糸巻き」があった。(07.7.12 撮影) 


横浜ノースドックの埠頭で、クレーンからバージに降ろされる「糸巻き」(06.6.30 撮影)

見慣れたのは那覇ではなくて、横浜ノースドックでのことだ。
音響測定艦がノースドックに入港し、点検のためにパッシブ・ソナーを艦の外に出すときに、この「糸巻き」が使われる。

ケーブル状になっているパッシブソナーは「糸巻き」に巻きつけられて船外に出され、横浜ノースドックの陸上施設で点検を受ける。 そして出港の数日前に逆の手法で、「糸巻き」から船内のリールに巻き取られる。

音響測定艦が停泊していないときなどは、ノースドックの埠頭や駐車場の片隅に、「糸巻き」が転がっている。そんな状態の「糸巻き」を 那覇軍港で見たのだ。

那覇軍港に音響測定艦がしばしば寄港することは、これまでに何度もレポートしてきた。しかし寄港日数はたいてい2,3日で、またすぐ に海に戻っていく。
音響測定艦の実質的な母港が横浜ノースドックで、那覇軍港には任務の途中の補給や休養に立ち寄っている、と考えられる。

活動海域が横浜より沖縄により近い音響測定艦にとって、これまでノースドックでやってきたような、ソナーの点検を含めたメンテが 那覇軍港でできるとなれば、港から哨戒海域までの移動日数が短縮され、任務の効率がよくなることは確かだ。

もちろん「糸巻き」だけあっても検査機能やその他のメンテ機能が無ければ実質的な母港とはなりえない。しかし中国海軍けん制のために、 横浜に比べて一歩も二歩も「有利」な地理的条件を生かそうとする動きが今後起きても不思議ではない。主要装備のパッシブ・ソナーを メンテする拠点が那覇に移動する可能性は十分あると考えられる。

(RIMPEACE編集部)


横浜ノースドックに停泊中の音響測定艦インペッカブルの
艦尾から巻き取られた、ケーブル状のパッシブソナー(06.7.3 撮影)


'2007-8-12|HOME|