嘉手納に居付いたWC135偵察機

  


タッチアンドゴーを繰り返すWC135(03.8.26嘉手納基地)

今、嘉手納でホットな話題といえば、横田からの患者輸送部隊の移駐と、オーサン基地の滑走路補修に伴うスパイ機U2の一時展開だ。しかし、2月からずっと展開されたままになっているWC135偵察機の動きも、注目すべきものだ。
このWC135は、大気中のチリなどを採取して分析する能力があると言われている。なぜ嘉手納に展開しているのか。北朝鮮の核開発に関係したものであることは間違いない。原子炉の燃料棒を核爆弾などの兵器用に再処理したり、核実験を行ったりすれば、大気中に自然界には存在しない同位元素が放出される(そうだ)。WC135の主翼の付け根の上にある左右の採取口からサンプリングした大気から、上記のアイソトープが検出されれば、核兵器開発の直接証拠となる。
「北の核」をめぐる6カ国会議が行われる直前の8月26日にも、嘉手納からWC135が飛んでいた。最近は週一くらいのペースだそうな。米国は北朝鮮の核開発がストップすると確信しないうちは、この機体が嘉手納に居続けるだろう。
F15戦闘機やKC135空中給油機の爆音が注目されるのと同様に、このKC135偵察機の去就は注目されねばならない。米国の本音がどこにあるのかを示すバロメーターとなっているからだ。

(RIMPEACE編集部、写真も)

昔の話
18年も前の話。1985年ころ、横田基地にはWC135がよく飛んできていた。垂直尾翼にWEATHERの文字。航空雑誌を見れば、気象観測機と書かれている。マニアに聞くと、WはWeatherの意味で、台風の目の中に飛び込んで行って気象データをとるとのこと。台風も来ないのに横田にはよく飛んでくるな、という感想は持ったが、当時はそこまで。航空雑誌の記述もマニアの説明も、それはそれで正しかったのだろうが、核実験などとの関連は考えもしなかった。
古い写真を引っ張り出してみたが、やはり空気採り入れ口は今と同じ位置に付いていた。今と同じ機能は持っていたのだ。当時の飛来の意味は、今となっては調べる術もないが、知らないと言うことは、恐ろしいことだと今更ながら感じさせられる写真の一つだ。


横田基地に着陸したWC135「気象観測機」(1985.8.3撮影)

'2003-9-7|HOME|