海兵隊の高速輸送艦、沖縄での動き

8月下旬に沖縄を訪問した。到着してすぐに目にしたのは、那覇軍港に係留されている高速(双胴)輸送艦ウェストパック・エクスプレスだった。
本ページの海の動きの中でも毎月のように登場する船で、沖縄海兵隊の移動手段の主力になっている。
いつも係留されているのは那覇軍港で、一番奥にいることが多い。58号線から基地のフェンスを隔ててすぐ近くに見える。車両の積みこみに一番便利な場所だが、この夏は那覇軍港の岸壁工事のために、港の中央部に移動していた。
海兵隊が出発するときに、輸送上好都合なのはキャンプ・ハンセンに至近のレッドビーチに接岸できること。今回も、那覇軍港から消えた、と思ったらレッドビーチに接岸していた。翌日、レッドビーチを出て横浜ノースドックに入港、そして韓国のポハンに向かっている。
8月末の動きでは、ホワイトビーチには寄らなかったようだが、9月中旬にはホワイトビーチにも接岸している。海兵隊と縁のある港には軒並み入港している、ということだ。入港記録が無いのは天願桟橋だけだろう。
なぜ、この船はこんなに「もてる」のだろうか。第1は航空機に比べて輸送コストが低いこと、そして意外にもトータルの輸送時間も短くなるという。2001年7月19日付けの星条旗新聞の記事の中で、沖縄と日本本土との往復の部隊移動に、航空機利用だと100万ドルかかるところが、ウェストパック・エクスプレスだと30万ドルですむ、との話が紹介されている。移動時間については、船の方が航空機よりも早い?と思ってしまうが、これは兵員とともに装備も同時に移動させる軍隊の話。一度に船ほど多くは積めない輸送機を何機も手配し、荷物の分散や、フライト後の集中の手間を考えると、一度に人も重装備も運べる高速船の方が結局早くなってしまう。よほどの内陸部でない限り、ウェストパック・エクスプレスのほうが飛行機より安くて早い、というわけだ。
この船が接岸するのに、港湾施設は岸壁さえあればいい、と思えるくらいだ。実際、金武のレッドビーチは、港というより、ちょっと大きな船着場で、こんなところにあんな大きな船がどうやって接岸するのだろう、と思っていた。実際に見てみると、ロープで固定して、船尾にまっすぐローディング・ブリッジを降ろして、車両からコンテナ、バラ積みの荷物までらくらくと積みこんでしまっていた。
MSCの契約一覧によれば、この船の契約期間は05年2月までで、リース料は一ヶ月三万ドルとなっている。


那覇軍港の奥の定係ポイント(左、一昨年撮影)と臨時の係留場所(右)



ブルービーチで積みこみを待つ海兵隊の装備、車両(左)と、ブルービーチに接岸したWPエクスプレス(右)



ホワイトビーチに接岸するWPエクスプレス(昨年撮影)

(RIMPEACE編集部、写真も)

'2003-9-20|HOME|