続・オスプレイ普天間配備の危険性 その3

まやかしの基地内モード変換



ミラマー基地でのストレートインの着陸パターン

オスプレイが普天間基地の外で、ヘリモードや転換モードで飛ばないように、着陸の際も基地のフェンスを越えてからエンジンナセルを傾け始める方法が、日米政府の間で検討されているとか。 4軍調整官もそれができることを保障したという。

米国東海岸の基地から西海岸の基地にオスプレイの配備を進める前に行った環境影響評価(以下西海岸アセスと略)には、配備候補の3基地についての騒音や排気ガスなどの調査のために、 離着陸や旋回飛行などのモデル・パターンが網羅されている。

はたして基地上空に入ってからモード変換をしてオスプレイが降りることは可能なのか?
西海岸アセスに掲げられた数ある着陸パターンのうち、ユマ基地への有視界方式(VFR)での着陸パターンだけが、普天間基地にあてはめると基地の境界内に入ってからのモード変換でも降りら れることを示していた。
下図がそのユマ基地VFR着陸パターンの図で、モード変換を始めるポイントBの先から着陸までの距離は6227フィート以下、つまり普天間の滑走路の長さ(9000フィート)の中に 収まっている。このパターンでのグライドスロープは9度強(6227フィートかけて1000フィートを降りる)となる。

注意すべきは、これが有視界方式での着陸,という点だ。着陸地点を目視しながらヘリが降下する場合は、レーダーで誘導されて着陸する場合よりも降下率を高くできる。視界が十分になく、 または雲の中をアプローチするような場合には、こんな降下は出来ない。
電波標識を目指してまっすぐにアプローチするストレート・イン方式の図(ミラマー基地)を上に掲げた。ナセルの角度が変わりだすのは着陸地点から16000フィート以上離れたところだ。 もし普天間基地の境界を越えてからナセルの傾きを変え始めたら、反対側の境界を飛び越えたときに、まだ高度は約500フィートで、完全に飛び越してしまうことになる。なお途中のグライド スロープは3度となっている。
GCAの場合はさらに遠くからナセルを傾けだす。ミラマー基地のショートGCA経路の場合で約4万フィート離れたあたりから、と読み取れる。

要するに基地の境界内でナセルを動かしだして基地内に降りられるのは、有視界飛行の条件を満たす、視界がクリアな場合のみだ。それ以外の場合は、計器飛行方式で降りてくるので、基地の中 で着陸を完結させることは難しくなる。
たとえば離陸後に条件がIFRに変わったら、基地内モード変換にこだわれば普天間には降りられなくなる。那覇か嘉手納にコンバートするしかない。

危険回避のためと言いつつ、基地の境界内だけでのモード変換に制限すれば、それは周辺の基地や空港に危険が拡散していくことになる。

(RIMPEACE編集部) 


ユマ基地での有視界飛行方式での着陸パターン。VFRに限る


2012-9-14|HOME|