続・オスプレイ普天間配備の危険性 その4

オスプレイと後方乱気流(1) 事故報告書は語る



事故機(MA, Mishap Aircraft)が、リード機(MLA, Mishap Lead Aircraft)の航跡とクロス


CGで再現された、左のローターがリード機の後方乱気流に入った瞬間の事故機
(6月13日のCV22オスプレイの事故調査報告書より)

2012年6月13日に低空飛行中の米空軍CV−22オスプレイが墜落した。この事故の調査報告書が 出されたが、原因は、先行機の後方乱気流に入ってしまったパイロットのミスとなっている。

表面的な事実関係はその通りなのだろう。日本の防衛省もその報告書を入手して、例によって調査方法に問題はないとして「機体自体に問題はない」という「結論」を出して、オスプレイの普天間 配備を進めようとしている。
本当に機体に問題はないのか? 乱気流にかかわるマニュアルの不備も言われているが、乱気流に関連するオスプレイ特有の問題があるのではないか?

まずは、CV−22事故調査報告に出てくる後方乱気流の恐ろしさを見ていこう。
オスプレイが編隊で飛行するとき、後方につくオスプレイは前方のオスプレイよりやや上に位置する。そして真後ろではなく先行機の航跡をはずす位置につける。オスプレイに限らず、すべての 軍用航空機がタイトな編隊を組む時の鉄則だ。後方乱気流を避けるためだ。
事故を起こしたCV−22オスプレイも2機編隊で飛び、事故調査報告書によれば事故機の正副パイロットは2人とも、先行機よりも高い位置にいると錯覚していた。上掲の2枚の絵は、その時の 事故機と先行機の関係を図示したものだ。

左側のローターが後方乱気流の渦の中に入り、機体の傾きが横に63度に、下方に23度、下降速度が毎分2880フィートとなり、地上からの高度300フィートを飛んでいたオスプレイは姿勢 を戻しつつ下降速度を抑えられずに墜落した。
通常、大型機の後方を離発着する小型機に起きる事故が、大きさ・重さが変わらない2機のオスプレイの間で起きた。機体間隔 0.2海里(約360メートル)というのは、通常の飛行ではありえ ないが編隊飛行では普通の距離だ。その距離で、同型機を墜落させるほどの強い乱気流を発生させたオスプレイに問題があるのか、落ちてしまったオスプレイに問題があるのだろうか。 まず乱気流の発生源としてのオスプレイについて、考えてみたい。(続く)

(RIMPEACE編集部) 


後方乱気流の概念図。大型ジェット機の翼端で発生する渦の挙動を示す。
(PILOTFRIEND のFLIGHT SAFETY , wake turbulence より)


2012-9-16|HOME|