オスプレイと後方乱気流(2) 発生源としてのオスプレイ
"Caution, Wake Turbulence" (後方乱気流に注意せよ)
飛行場管制官が大型機の後に離発着する小型機や中型機によく注意喚起する言葉だ。
最大離陸重量でヘビー機、ミディアム機、ライト機に分類される中で、最も注意を必要とするのが、先行するヘビー機をライト機が追うケースだ。レーダー管制の場合の間隔の基準は6海里で、
ミディアム機が追う場合が5海里、ヘビー機同士で4海里と重量の小さいライト機に対する後方乱気流の影響が大きいことを反映している。
防衛省が後方乱気流の影響による事故として、フロリダにおけるCV−22墜落事故に関する分析評価報告書
(H24.9.11 防衛省)の中で例示しているのも、海自のUS1とU36、民間のエアバスとセスナというように、必ずしもヘビー機とは限らないが大型機と小型機の間で起きたものだ。
同分析評価報告書の中で防衛省は「前方機が発生させる後方乱気流の影響は、オスプレイに特有のものではなく、航空機全般に共通する特徴である」とわざわざ断っている。一般的にはその通り
だが、360メートル離れた位置を同型機が飛ぶというのは、少なくとも民間機では考えられない。編隊飛行中の軍用機だからこそ、前方機が発生させる後方乱気流の影響が墜落させるだけの
ものになったと言える。
では、この同型機を墜落にいたらしめる後方乱気流は、軍用機全般に共通するものだろうか?
国防総省でオスプレイの分析評価を担当したリボロ氏は、ヘリの権威に依頼して2000年に後方乱気流による事故の原因究明を図った。その結果「両翼に回転翼が設置されている設計上、非常
に危険な後方気流を生じさせていることが判明した」(12.9.6 琉球新報)
対応策の追及のためのプログラムが開始されたが、「海兵隊、ベル・ボーイング社が『機体に問題はない』と主張」1年半後に評価は未完のまま中止された。(同紙)
政治的にフタをしただけで、オスプレイに特有の後方乱気流の問題があることは手つかずで残った。墜落事故を引き起こすような後方乱気流発生源という疑惑に、オスプレイは限りなくクロに近い。
(続く)
(RIMPEACE編集部)
両翼端に回転翼が設置されているオスプレイ(沖縄マリンのMV-22説明資料より)
2012-9-16|HOME|