続・オスプレイ普天間配備の危険性 その6

オスプレイと後方乱気流(3) ヘリは乱気流に強い、ではオスプレイは?


フロリダのCV−22事故の原因と米軍が分析した、オスプレイが乱気流に突っ込んだ時の脆弱性について考えてみる。
「1番機の後方乱気流の影響により左プロップローターの揚力が喪失した」ことは「他の航空機でも起こりうる」(防衛省の分析評価報告書より)。なぜか、防衛省はオスプレイの事故を、オスプ レイ特有のものではない、とわざわざ断ることが多い。左右の翼端にエンジンナセルを装備しているため、片方のローターが揚力を失ったとき機体の制御ができなくなることなど、オスプレイを一目 見ればわかることだ。後方乱気流の発生とその中でローターの揚力が喪失することは、確かに一般的な話だが、そのあとあれだけ急にバランスを崩して墜落することは、これはオスプレイ特有の機 体構造に起因することだ。
オスプレイ特有の機体構造として、固定翼をもったヘリという形態もまた、急激な機体制御の喪失という事態に対応している。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)研究開発報告として2008年2月に発表された 「大型航空機の後方乱気流が小型機に与える影響に関する研究」(奥野善則・又吉直樹)は、「後方乱気流モデルの開発、シミュレーション実験による後方乱気流の影響を定量的に評価する 技術の確立」についての論文だ。
実験に協力した企業などのパイロットが、ジャンボ機の後方乱気流を小型の固定翼機と小型ヘリが受けることを想定したシミュレーター実験を行い、固定翼機とヘリの動きについて評価を行った。
得られた結果の一つとして、「固定翼機に比べてヘリコプタは後方乱気流の影響を受けにくいことが示された。」
その理由として以下が考えられる。
 @ヘリコプタは一般に固定翼機より翼面荷重が大きいため基本的に乱気流の影響を受けにくい。
 A渦の影響がブレードのヒンジを介して伝わるため、主翼から剛に伝わる固定翼機に比べて姿勢変動への影響が小さい。
 Bコレクティブ操作によってロータの揚力を直接制御できるため、機体のピッチ姿勢変化を必要とする固定翼機より高度の回復処理が素早くできる。
(以上、同論文からの省略を含む引用。敬称略)

オスプレイが代替しようとしているCH46との比較で言えば、オスプレイのほうが後方乱気流の影響を受けやすいと言える。オスプレイが固定翼を持っているがための結果だ。
これまでCH46なら影響が少なかった乱気流にもまれた時、オスプレイは墜落してしまう、ということになりかねない。
CV22のフロリダでの事故について、ローレンス・コーブ元国防次官補は「操縦ミスの『許容範囲』が非常に小さく、ほんのわずかなミスでも墜落につながる。(米軍の多目的ヘリの) ブラックホークなら、こうした事故は起こらなかっただろう」と語っている。(2012.9.2 朝日新聞)
最初にこの記事を読んだ時には気付かなかったが、ヘリとオスプレイの乱気流に対する抵抗力の違いが、ローレンス・コーブ元国防次官補の話に含まれていたのではないか。(続く)

(RIMPEACE編集部) 


2012-9-16|HOME|