続・オスプレイ普天間配備の危険性 その7

オスプレイと後方乱気流(4) フロリダ事故機のコースと普天間着陸コース



3機以上の編隊で着陸するオスプレイ(沖縄マリンのMV-22説明資料より)

2機のオスプレイが低空でほぼ同じコースを飛んでいて、先行機の後方乱気流に入って墜落したのが、フロリダの事故だった。墜落事故直前の2機のオスプレイの飛行コースは、編隊飛行から 普天間基地に着陸するヘリのコースによく似ていると思った。オスプレイが普天間基地に配備されたら、着陸コースで後方乱気流に突入する恐れは大いにある。

オスプレイの普天間配備に向けた海兵隊作成の「環境レビュー」では、オスプレイの普天間基地への着陸形態の中でブレイク・アライバル(オーバーヘッド・アプローチ)が一番多い。その飛行 コースをもう一度調べてみた。
普天間のへりだけでなく、軍用機は単独で飛行することは少ない。2機、3機で編隊を組み訓練に出かけ、基地に戻ってくるときも編隊で飛行する。気象条件がVFRの場合、一定の高度で 滑走路上空に進入、ブレイク・ポイントで編隊を解いて1機ずつ距離をおいて着陸コースをたどる。

下図は、「環境レビュー」で設定されていたオスプレイの北東向きオーバーヘッド・アプローチ、着陸のコース図だが、青い線で囲った部分がフロリダ事故の報告書にある2機のオスプレイの コースによく似ている。
編隊で飛ぶときに2機が同じコースをトレールしていること、高度が地上300フィート前後、ナセルの角度が80度前後、飛行速度80ノット 前後などが共通している。

フロリダの事故は夜間に先行機との位置関係をパイロットが勘違いして、後方乱気流に左側のローターがはいったことで起きた。機体の間隔が大きくない場合の編隊の着陸方法は、後方機の 位置取りを含めて厳しく定められているはずだ。それはフロリダの事故機の場合も同じだ。それでも事故は起きた。「考え違い」という間違いは、人間がやることだから例え小さい確率でも起こり 得る。

これまでも普天間に編隊で着陸するCH46は多かった。仮にそのうちの一機が後方乱気流に突入しても、前稿でみたように、ヘリのほうが固定翼も持ったオスプレイより渦のなかでの姿勢制御 はやりやすい。これまで普天間に着陸するヘリが後方乱気流で危険な状況になったことはなかったとしても、渦の中での姿勢制御が難しく、実際に墜落事故を起こしているオスプレイが、着陸コ ースで先行機の後流に入ってしまえば危険な状況になる。

堕ちた先が演習場の原野だったフロリダのオスプレイに対して、普天間基地のアプローチコースの下には民家が広がっている。普天間基地でのオスプレイの編隊着陸には、これまでのCH46では 考えられない危険性が潜んでいる。

(RIMPEACE編集部) 



「環境レビュー」に示されたオスプレイのオーバーヘッド・アプローチの飛行コースと、飛行高度・ナセルの角度のデータ


2012-9-17|HOME|