続・オスプレイ普天間配備の危険性 その8

オスプレイと後方乱気流(5) 大型低速機が飛ぶ普天間基地



普天間基地に配備されているKC130空中給油機は、大型で低速で飛ぶ。強い後方乱気流を着陸コースに沿って残す(12.4.19 撮影)

オスプレイが編隊飛行を行った後普天間基地に戻ってくると、先行機の翼端から生じる後方乱気流の渦が発生し、後ろに続くオスプレイが「位置取り」を間違えると、フロリダの墜落事故と 同様の事故が起きることを、前稿(その7)で述べた。ヘリよりも渦による影響を受けやすいオスプレイにとって脅威となるのは、編隊飛行で先行するオスプレイだけではない。
普天間基地を発着する固定翼機とヘリ、中でも重量のあるKC130やP3Cの作る後方乱気流は、オスプレイが作るそれよりも強くなるだろう。

航空工学が専門の東昭氏が、第21回ヘリコプターセミナーで「大型機の後方乱気流の中の小型機の飛行」と題する講演を行っ た(PILOT No.4,1999に収録)。その中で、乱気流の強さを定式化して、 「循環(渦の強さ)は重量を空気の密度×翼幅×飛行速度で割ったもの、と説明している。そして「1) 重量が重いと強い渦ができる。大型機であればあるほど強い渦ができる。 2)翼が長いもの は渦の強さが減少する。 3)速度は巡航時のように速ければ渦は小さくなり、離着陸時のように遅いと強くなる」と述べている。
なお東氏は講演の中で「ヘリコプターは飛行機と比べて渦の影響を受けることがはるかに少ない。飛行機は翼が長いので吹き上げ吹き降ろしのあるところでは強いロールに遭遇するようだ」と語っ ている。

普天間に即して言えば、これまで大型機の後方乱気流による事故がなかったとしても、それは渦の影響を受けることが少ない、ヘリの特質が出たためだ。CH46に代わっての配備を狙っている オスプレイは、翼を渦の中でゆさぶられて姿勢制御が困難になることが考えられる。

オスプレイの「安全宣言」を出す前に調べなければならないことはまだまだあるし、調べれば調べるほど危険性がはっきりしてくる。

(RIMPEACE編集部) 


大型対潜哨戒機P3Cも嘉手納から普天間に飛来してタッチアンドゴーを行う。強い乱気流の発生源だ(12.2.23 撮影)


2012-9-18|HOME|