陸軍移動病院セット、相模補給廠に4セット

99.2.15 星条旗新聞より



 テントの中で治療するという昔のイメージは、現在の陸軍の移動病院には合わない。テントの群れは、鉄の壁のX線検査室、木の床の手術室、血液銀行、集中治療室となった。それらの全てが金属の容器に入れられて、戦場に送られる日を待っている。
 陸軍は、相模補給廠にこれまでに移動病院3セットを送った。その結果、補給廠は太平洋地域の戦争や災害に対処する能力を高めた。第35補給支援中隊は、それらの資材のメンテを担当する。その担当者が、4つ目の移動病院を受領したと語った。
 新しいセットは、これまで保管されていた医療物資と交換される。古い物資の一部は米本土に送り返されて、再利用される。今や補給廠には2つの野戦病院セットと、2つの総合病院セットが保管されている。どのセットも、現地到着後7日間でフル稼働出来るものだ。
 野戦病院セットは324床のベッドがあり、72時間以内に戦場に戻れる傷病兵を治療するものだ。総合病院セットは、もっと重症の兵士の治療を行う。ここで治療を受けた兵士は、最終的には後方地域に送られるだろう。
 どのセットも1セット1300万ドルする。展開すると10〜13エーカーの土地が必要だ。スタッフも数百人いる。稼働すると、総合病院セットで700人以上の医療従事者が必要になる。
 それぞれのセットは、多大な電力や物資を必要とする。野戦病院セットの場合で、5つの発電機と、1日に2万ガロン以上の水が必要だ。



・編集部からのコメント
 戦争を遂行するためには、物資・弾薬の補給と、傷病兵の治療・移送が不可欠だ。相模補給廠は、ベトナム戦争当時「トイレットペーパーから戦車まで」と言われる物資の
補給拠点だった。
 当時からベッド、薬品などの医療物資が貯蔵されていたが、4つの移動病院セットという形になって、輸送はもちろんのこと、維持管理面でも大幅な効率化(つまり機能の強化)となった。
 この記事の中で「重症兵士は後方に移送される」となっている。この「後方」が、「周辺事態措置法案」の焦点の一つとなっている「傷病者に対する医療、衛生機具の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供」と密接不可分であることは言うまでもない。
 4セットも常時保管しているということは、戦場が相当近いことを想定していることに他ならない。この戦場への近さからして相当数が日本で治療されることを想定していると見たほうがいいだろう。病院セットの戦場展開と傷病兵の移送は、方向が逆になるだけで、地理的な条件の適不適は一致しているのだから。


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