米軍は相模補給廠からカナダにPCBを運び出す

99年3月3日付け星条旗新聞より

リチャード・レスラー東京支局長


東京発

米軍相模補給廠から2年分の有害化学物質(廃棄物)(大多数は日本製の電気関連の部品)が、カナダの廃棄施設に間もなく送られる、と米軍当局者が語った。
廃棄物はPCBを含んでいる。アメリカ環境保護局によれば、PCBは発がん性を持った化合物だ。PCB含有物は、過去には電気関係の絶縁物として広く使われていたが、1979年に禁止された。
相模補給廠でPCBが取り扱われていることに懸念を表明していた相模原市議は、汚染物質が撤去されることは喜ばしい、と述べた。
「私はPCBは米国に運ばれるべきだと思う。しかしカナダの業者が処理するならば、それはそれでいいことだ」と金子豊貴男相模原市議は語っている。「私の主要な関心事は、これらの有害物質が安全に保管されることだ」
東京近辺の5つの大きな米軍基地から出る余剰軍事物資や廃棄物、それに沖縄の米軍基地から運ばれる有害廃棄物を処分する事が、相模補給廠の任務の一つだ。
PCBを含む物品のほとんどは、米軍基地の中の日本が造った建物から取り外されたトランスだ、と相模補給廠のDRMOチーフのエドワード・コプシック氏は言っている。DRMOは不要物の廃棄を担当している。
月を追うごとに、古いトランスやPCB含有のオイル、その他の部品が倉庫に満たされていく。間もなくもっと増えるだろう。トランスやPCB廃棄物入りの85ガロンのドラム缶100個が、横須賀米海軍基地から相模補給廠に運ばれる予定だ。
廃棄物の心配をした相模原市議会が、最近日本の防衛当局に、廃棄物が正しく取り扱われて、正しく廃棄されているのかどうか調査を求めた。
「米軍は、危険物の情報をもっと地方自治体に通告すべきだ。さもないと住民は不安になる」と金子市議は語っている。
この3年のうちに、沖縄の嘉手納基地、キャンプ・フォスター、キャンプ・キンザーの周りに住む日本人や、グアムの元海軍発電所の周辺の住民が、これらの基地のPCB廃棄物を懸念する声を上げている。佐世保基地の近くの造船会社は、基地周辺のPCBの土壌汚染は基地が原因だ、と言っている。しかし、日本の調査では基地と汚染はリンクされていない。
米軍が扱うPCBの量がどのくらいなのかは、はっきりしていない。過去に星条旗新聞が質問したPCBがらみの問いに、在日米軍は答えていない。
相模補給廠に関しては、貯蔵されているPCB廃棄物の3分の2は、一ヵ月以内に運び出される、と在日米陸軍広報部次長のクレイグ・スノー大尉は語った。
PCBの廃棄に関する事情はは極めて複雑だ、とコプシックは言っている。ほとんどの汚染物が日本製なのに、この国には正規の処分場が一つもない。
最近まで、この問題に対する解決策は、廃棄物を米国に運んで処理することだった。しかし最近法律が変わり、他国のPCB廃棄物を米国に持ち込めなくなった。
コプシックが言うには、相模補給廠内の462個のPCB入りの容器の群れ(大型トランスもしくは85ガロンドラム缶)のうち、米国から来たものは10個に過ぎない。
積み出しは米国の法律や国際法に従って行われる、とコプシックは言っている。日本、米国、カナダの政府は、廃棄物の取扱と移動を承認している。オイルと小さなトランスは55ガロンドラム缶に詰められ、さらに85ガロンドラム缶の中に入れられる。
「複雑でハイテクな技術だ。我々は樽を2つ背中にかついだ、古き良き時代の人達とは違う」とコプシックは語った。
しかし、相模補給廠に保管されているPCB廃棄物は環境に有害ではないと彼は言った。コンクリートの床の倉庫に保管されていて、万一一つの容器が壊れたとしても、土壌や地下水を汚染することはない。
「全く安全だ。俺のキャリアを賭けてもいい」とコプシックは言っている。
(この記事には、マユミ・ヤマモトとノリオ・ムロイが貢献している)



編集部より一言
金子相模原市議が、相模補給廠内の倉庫に付けられた「PCB保管場所」の看板の写真をもとに、記者会見して、PCBの保管状況の調査を相模原市に要求した。これに対する米軍の反応が、この星条旗新聞の記事になっている。この記事は、Stripes On Line の3月 3日のページに載っている。
だけど、星条旗新聞の編集部さん。KANEDAじゃないよ、KANEKOだよ!
(99.3.9追記)
ミススペリングについて、星条旗新聞東京支局長から丁重なおわびのメールが来た後、紙面に訂正が打たれたことを付記します。
HOMEMISAWAATSUGIIWAKUNISASEBOOKINAWASEAAIRSONOTA|'99-3-6